バフェットも推奨、好成績で人気のS&P500連動インデックスファンドの“落とし穴”
投資信託への資金流入が続いています。牽引するのは海外株式で運用される投信。ESG(環境・社会・ガバナンス)やSDGs(持続可能な開発目標)に関連するアクティブ型ファンドと、米国のS&P500やNASDAQ指数に連動するインデックスファンドです。インデックスファンドが人気なのは、個人投資家が運用管理費用(信託報酬)を含めた投資コストに敏感になったために、コストの高いアクティブ型ファンドを敬遠する傾向があること。つみたてNISAの主力がインデックスファンドであることも個人投資家の関心を向かわせていると思われます。
日本の株価指数は軟調な展開が続いている一方、米国の株価指数は史上最高値を更新というワニの口状態の勢いが続いており、米国株への投資熱が高まるのも致し方ないのかもしれません。株価指数をアウトパフォームし続ける好成績のアクティブ型ファンドはかなり少ない(特に海外株式型)ことから、インデックスファンドへの投資は合理的ともいえるでしょう。S&P500株価指数連動のインデックスファンド投資(ETFを含む)は、「投資の神様」と称されるウォーレン・バフェット氏も個別株投資で迷うなら同指数連動のファンドを購入しなさいと勧めていることも、後押ししているように思えます。
S&P500株価指数連動のインデックスファンドは、運用成績は中・長期で良好、投資コストも低く抑えられており、つみたてNISAの対象商品であることから非の打ち所がないように見えるます。しかしながら、ESGやSDGsの視点に立てば大きな落とし穴があることを見逃してはならないのです。人気のS&P500株価指数ですが、組み入れ全500銘柄を確認したことが皆さんはあるでしょうか?
筆者はかなり昔に確認した以降、確認を怠っていたので褒められたものではないのですが、改めて全500銘柄を確認すると5銘柄、全体の1%が表に記載した軍需関連銘柄だったのです。
たとえば「レイセオン・テクノロジーズ」は航空宇宙・防衛産業を代表する巨大軍需企業。「ハンティントン・インガルス・インダストリーズ」は原子力潜水艦を建造できる2社のうちの1社で、空母、強襲揚陸艦なども建造しています。その他3社は割愛させていただきますが(ご自身で調べてみてください)、ESGやSDGsに共鳴しながらもS&P500株価指数連動のインデックファンドに投資することは、信条と行動が矛盾していると肝に銘じなければならないのです。
昨今の風潮でいえば「投資コストが低ければよい」「運用成績が良好なのであればよい」で片付けてはいけないと思われるのです。インデックスファンド投資にも落とし穴があることを忘れてはならないのです。
(文=深野康彦/ファイナンシャルリサーチ代表、ファイナンシャルプランナー)