「妊婦加算」だけではない!「乳幼児加算」や、こっそりアップした医療費の特別料金に注意
患者としては、何かあったときのことを考えると、最初から大病院で検査や治療を受けたいという心理が働くのだろうが、この費用は保険適用外であり全額自己負担となる。そこで、まずは、かかりつけ病院を受診し、必要に応じて紹介状を書いてもらうといった習慣づけを行いたい。紹介状の発行は保険が適用されて、原則750円(3割負担)だ。そのためには、日頃から信頼できる、かかりつけ医・かかりつけ病院を作っておくことが肝心なのだ。
なお、救急の患者など緊急その他やむを得ない事情がある場合は、定額負担は求められないことも覚えておこう。
(2)どの薬局で薬を処方されるかで値段が変わる
基本的に薬局の種類は、病院の中にある「院内薬局」と外にある「院外薬局」に大別できる。さらに院外薬局は、病院の敷地内にあるが経営は別の「門内薬局」、病院の目の前にありその病院の処方せんの受付率が高い「門前薬局」、それ以外の「一般薬局」がある。薬局で薬をもらう場合、「調剤基本料」という料金がかかるが、この費用が薬局の種類によって大きく差が生じる点に注意したい。
最も安いのは院内薬局で24円(3割負担の場合、以下同じ)。院外薬局の場合、調剤基本料のほかにもさまざまな加算がつき、厚生労働省の資料によると、院内薬局と院外薬局では、1処方の平均的な技術料(薬剤6,360円あたり)について、院内処方940円に対し、院外処方は2,910円と、その差は3倍以上にものぼるという。ただし、医薬分業が進んだ結果、院内薬局は3割にも満たない。以前は院内処方されていたという患者も、徐々に切り替わる可能性が高い。
そして、今回の診療報酬改定によって、いわゆる門前薬局の調剤報酬の適正化が図られ、大手チェーン薬局がさらに安くなり、グループ全体で処方せん回数が多いほど診療報酬が引き下げられたのだ。その結果、特定の医療機関からの処方せん集中率のほか、グループ全体・当該薬局処方せん受け付け回数が4万回を超える場合、調剤基本料は60円、さらに40万回を超えると45円になる。
一方、最も調剤基本料が高いのは、特定の医療機関からの処方せん集中率が低い一般薬局で、123円となっている。要するに、病院からより近い規模の大きな薬局で薬をもらうほうが割安になる可能性が高いということなのだが、病院ごとに薬局が変われば、薬の重複など一元管理が難しくなる。国が推進する「かかりつけ薬局」との関係も考慮しておきたい。
(3)お薬手帳を持参すれば、36円安くなる
薬代についての改定のポイントはまだある。薬局に行くときにお薬手帳を持参すれば薬代が安くなる制度が導入されたのは、16年4月から。それが18年4月以降、「薬剤服用歴管理指導料」が改定され、6カ月以内に処方せんを持参し、お薬手帳を持参した場合、それ以外の場合よりも36円(3割負担の場合)安くなる。
要するに、6カ月以内に1回は利用した薬局で、実際に安くなるのは2回目以降からというわけだが、併せて薬局の規模にも注意したい。対象となるのは、街中にある小さな薬局のみ。病院の近くにある大型薬局やチェーン展開している大手の薬局などは除外されている。
大切なのは、日頃から医療に関してもコスト意識を持つこと
基本的に、他の支出に比べて、医療に関するお金については、節約するという人々の意識が低かったように感じる。自分の健康が維持できるのであれば、多少費用がかかっても仕方がないと考える人がほとんどなのだろう。
確かに、自分の命はお金には代えられないものだが、工夫次第で節約できる医療費もあるということを、ぜひ知っていただきたい。そのためには、病院や薬局でもらう診療報酬明細書には目を通し、よくわからないと感じたら、窓口で質問してみよう。きっと丁寧に説明してくれるはずだ。医療費に関心やコスト意識を持つことで、ムダな医療費をかけないよう、予防や健康管理にも気を遣う人も増えるのではないだろうか?
(文=黒田尚子/ファイナンシャルプランナー)