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黒田尚子「『足るを知る』のマネー学」

「妊婦加算」だけではない!「乳幼児加算」や、こっそりアップした医療費の特別料金に注意

文=黒田尚子/ファイナンシャルプランナー

妊婦加算で窓口負担はどれくらい増える?

 さて、そこで気になるのは、妊婦加算によって、どれくらい自己負担額がアップするのか、という点だろう。病院に行くと、通常、初診料や再診料といった基本診療料が一律でかかる(【図表1】)。

「妊婦加算」だけではない!「乳幼児加算」や、こっそりアップした医療費の特別料金に注意の画像2

 妊婦加算は、これらに上乗せされるかたちで、病名や診療科にかかわらず加算され、診療報酬としては、初診時75点、再診時38点となっている。つまり、妊婦が外来を受診すると、3割負担の場合、初診時に約230円、再診時に約110円が上乗せされ、さらに診療時間外(おおむね6時~8時<土曜日は午前8時前と正午以降>、18時~22時、各医療機関が設定した休診日)や休日(日曜日および国民の祝日、年末・年始)、深夜(22時~6時)などであれば、加算額がアップするしくみだ。この手の費用はチリツモなので、少額といえども通院回数が増えれば、負担に感じるはずだ。

「妊婦加算」だけではない!「乳幼児加算」や、こっそりアップした医療費の特別料金に注意の画像3

妊婦以外に「乳幼児加算」もある

 このような妊婦加算以外に、患者の属性によって加算されるものに「乳幼児加算」がある。これは、6歳未満の乳幼児に対するもので、加算額は前掲の妊婦加算と同額。さらに、心電図検査や超音波検査などのなかには、通常の検査料に15~60%の加算がつくものもある。

「子どもの医療費は安い」と多くの人が思い込んでいるようだが、実は大人よりも割高なのだ。単に多くの自治体で子どもの医療費に対する助成制度が導入されており、医療費の自己負担分の一部あるいは全部が補助されているため、気づかないだけである。このほかにも認知症患者や多剤投与をしている患者に対する加算なども設けられている。

今年からアップしている、こんな“特別料金”にも注意!

 18年の診療報酬改定では、薬代や材料代などが引き下げられた一方、医師の技術料や看護師のサポート料、検査、処置代などが引き上げられている。これまでのように無意識に病院に通っていたのでは、いつの間にか、以前より窓口で支払う負担が増えている方もいるかもしれない。そうならないために、次のような場合にも注意しよう。

(1)紹介状なしで大学病院にいきなり行くと特別料金が加算

 紹介状なしで大学病院などを受診した場合、16年4月から初診時に5,000円以上、再診時に2,500円以上の特別負担(選定療養)を徴収するしくみが導入されている。対象となるのは、「特定機能病院・一般病床500床以上の地域医療支援病院」だが、18年4月から対象が500床以上から400床以上へと拡大。全国約260カ所から約410カ所へと1.6倍に増えており、一般病院の6%程度を占めるという。

黒田尚子/ファイナンシャル・プランナー

黒田尚子/ファイナンシャル・プランナー

 1969年富山県富山市生まれ。立命館大学法学部卒業後、1992年、株式会社日本総合研究所に入社。在職中に、FP資格を取得し、1997年同社退社。翌年、独立系FPとして転身を図る。2009年末に乳がん告知を受け、自らの体験から、がんなど病気に対する経済的備えの重要性を訴える活動を行うほか、老後・介護・消費者問題にも注力。聖路加国際病院のがん経験者向けプロジェクト「おさいふリング」のファシリテーター、NPO法人キャンサーネットジャパン・アドバイザリーボード(外部評価委員会)メンバー、NPO法人がんと暮らしを考える会理事なども務める。著書に「がんとお金の本」、「がんとわたしノート」(Bkc)、「がんとお金の真実(リアル)」(セールス手帖社)、「50代からのお金のはなし」(プレジデント社)、「入院・介護「はじめて」ガイド」(主婦の友社)(共同監修)など。近著は「親の介護とお金が心配です」(主婦の友社)(監修)(6月21日発売)
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