ビジネスジャーナル > マネーニュース > ふるさと納税の忘れがちな注意点とは
NEW
西山美紀「貯蓄スキルの高め方」

「ふるさと納税」駆け込みで間に合うための3つのステップ!忘れがちな注意点とは

文=西山美紀/マネーコラムニスト
お金とスマートフォン
「gettyimages」より

 年末になると、話題にのぼるのが「ふるさと納税」。1年間の年収等に応じて、お得に利用できるふるさと納税の上限額が決まっていて、2021年分は2021年の12月31日まで。「今年分のふるさと納税をしたい!」と、少し焦り気味の方もいるのではないでしょうか。

 スムーズに駆け込みたい方のために、慌てたり迷ったりしないためのステップをお伝えします。

ステップ1■自分の「寄付の控除上限額」をチェック

 ふるさと納税は、年間2000円を超えた金額に対して税金の控除や還付が受けられ、さらに、お礼として自治体から特産品などを受け取れる制度です。自己負担額を2000円に収めるための寄付上限額は、年収や家族構成などによって変わります。

 さて、自分の年収はいくらでしょうか。「よくわからない」という方も多いのですが、会社員の方なら、12月中に会社から「源泉徴収票」をもらえるケースもありますので要チェックです(会社によっては1月になる場合もあります)。

 そちらを見れば、今年の年収がわかります。総務省のふるさと納税ポータルサイトや各種ポータルサイト(ふるさとチョイス、さとふる、楽天ふるさと納税等)にある「寄付の控除上限額」の一覧表をチェック。自分の今年の年収と家族構成に当てはまる、ふるさと納税の寄付の上限額の概算を確認しましょう。

 たとえば、ポータルサイト「ふるさとチョイス」では、トップページの上部に「控除上限額の目安を計算」があり、家族構成と年収を入力すれば、概算がすぐにわかります(スマホの場合は「かんたんシミュレーション」と表示)。

 独身(または共働きで配偶者控除がない場合)で年収400万円なら、約4万3000円、年収500万円なら、約6万1000円だとわかります。

 上記はあくまでも概算で、源泉徴収票の内容や、住宅ローン控除やiDeCoなどの利用があれば、それらもあわせて確認しましょう。各種ポータルサイトにある「さらに詳しいシミュレーション」などのコーナーで入力して、確かめてみてください。

ステップ2■ふるさと納税の寄付先を選ぶ

 金額がわかったら、寄付先を選びましょう。

 仮に、独身(または共働きで配偶者控除がない場合)で年収500万円なら約6万1000円だと、先ほどわかりましたが、この金額の範囲内で、ふるさと納税ポータルサイトで応援したい自治体や気になる返礼品を探してみましょう。

 ただし、ここで「寄付先の自治体の数」の注意点があります。確定申告をするつもりなら寄付先の自治体はいくつでも大丈夫なのですが、「ワンストップ特例制度」という会社員が利用できる簡単な制度を利用する場合は、寄付先の自治体を「5つ以内」におさめる必要があります。

 ワンストップ特例制度とは、会社員で、確定申告をしない人(=医療費控除や住宅ローン控除の初回の申告を行わない人、2か所以上から給与収入がない人等)限定で利用できる制度。確定申告をせずに、自治体と書類のやりとりだけで手続きが終わるので、少しラクになります。

 ただし、自治体への書類送付の期限が、2021年分なら2022年1月10日なので、年末が迫っている今、意外と時間がありません。ふるさと納税を行ったら、急いで申請書類を準備する必要があります。自治体から書類セットが送られる場合もありますが、年末で寄付が殺到しているとなかなか届かないことも。各種ふるさと納税ポータルサイトで申請用紙のダウンロードもできるので、その用紙を使って、すぐに書類を送る方が安心かもしれません。

 ワンストップ特例制度を利用しない場合は、寄付先の自治体はいくつでもOK。6つでも7つでも、それ以上でも大丈夫です。

 また、確定申告をする場合は、今回の確定申告から手続きが簡略化されました。これまでは、寄付ごとに送られてくる「寄付金受領証明書」をすべて保管し、申告の際に記入や添付が必要でしたが、2021年分からは国税庁が指定したポータルサイトの利用なら、サイトから年間寄付額が記載された「寄付金控除に関する証明書」をダウンロードして、添付すればOKとなりました。

 国税庁が指定したサイトは、「ふるさとチョイス」「さとふる」「楽天ふるさと納税」「ふるなび」などが挙げられます。駆け込みで急ぎたい場合は、国税庁指定のサイトから選ぶと、その後の確定申告もスムーズになるでしょう。

ステップ3■申告手続きを忘れずに!

 ふるさと納税は、返礼品が届いて、地方の特産品を堪能しているうちにうっかり忘れてしまうケースもあるようなのですが、申告手続きがマストです。

 ワンストップ特例制度、確定申告ともに、忘れずに行いましょう。確定申告シーズンは、2021年分は基本的には2022年の2~3月ですが、税金が戻ってくる申告であれば、実は2022年の3月半ばまでに行わなくても、5年間の猶予があります。とはいっても、先延ばしにしていると、忘れてしまう恐れもあるので、世の中が盛り上がっている確定申告シーズンに行うほうが賢明でしょう。

おまけ■人気のふるさと納税先は?

 では、ふるさと納税で、最近のトレンドはどんな状況でしょうか。

 ふるさと納税ポータルサイト「さとふる」が発表した、2021年のふるさと納税お礼品トレンドからピックアップします。

●「応援」「支援」が付くお礼品寄付件数 前年比約4倍

 コロナ禍にあり、「誰かを応援したい」という気持ちの高まりを感じられます。飲食店などの利用が減り、食材などが余ってしまった場合に、ふるさと納税で応援できる仕組みや、各自治体を支援するようなタイプのふるさと納税が注目されています。

●「温泉利用券」カテゴリお礼品の寄付件数 前年比約4.4倍

 そろそろコロナ禍の疲れが、たまりにたまってきた時期。近場の温泉など検討し始めている方も多いのではないでしょうか。発行から1年などと期限にもゆとりがあるものもあり、「世の中が落ち着いたタイミングで行きたいな」と考えて選んでいる人もいるかもしれません。

 さらに「さとふる」にて、キーワードの「検索数」についての調査も出ていました。その中からいくつかご紹介します(いずれも、前年から今年の順位の伸び)。

●「ウイスキー」169位から77位に。92位アップ!

●「観葉植物」212位から94位に。118位アップ!

●「プロティン」174位から123位に。51位アップ!

●「ゴルフ用品」230位から149位に。81位アップ!

●「アウトドア用品」222位から139位に。83位アップ!

●「訳あり」109位から11位に。98位アップ!

 在宅時間の充実や、ダイエット志向、トレーニング志向の高まり、アウトドア人気などがそのまま反映されている印象です(筆者も観葉植物を選びました)。

「訳あり」とは、規格外や傷ありなどの理由で市場に出回りにくいもの、コロナ禍により在庫が増え、内容量を増やしたものなどが挙げられます。事業者を応援したい気持ち、フードロス削減への関心などが反映されているようです。寄付先や返礼品を選ぶときに、チェックしてみてもよさそうです。

 ふるさと納税は「お得なこと」が追求されがちですが、日本全国各地に思いを寄せるきっかけにもなります。慌ただしい年末ではありますが、ご参考にしてみてください。

(文=西山美紀/マネーコラムニスト)

西山美紀/マネーコラムニスト・ファイナンシャルプランナー

西山美紀/マネーコラムニスト・ファイナンシャルプランナー

出版社勤務後、2005年に独立し、FP資格を取得。単に貯蓄額を増やすのではなく、うるおいのある毎日のためのお金の使い方・貯め方について発信。Oggi、ミモレ、マリソル、LEE、日経DUALなどの女性誌・WEB等でマネーコラム連載、取材・執筆・監修等。著書に『お金が貯まる「体質」のつくり方』(すばる舎)、『はじめての積立投資・つみたてNISA・iDeCoもよくわかる!お金の増やし方』(主婦の友社)等。

Twitter:@writerN1225

『お金の増やし方』 「乗り換えるだけ」「制度を利用するだけ」「ほったらかすだけ」の3つのアクションで 超初心者でもしっかりお金が増やせます! amazon_associate_logo.jpg

「ふるさと納税」駆け込みで間に合うための3つのステップ!忘れがちな注意点とはのページです。ビジネスジャーナルは、マネー、, , , の最新ニュースをビジネスパーソン向けにいち早くお届けします。ビジネスの本音に迫るならビジネスジャーナルへ!