多くの人が収入の目標に定め、ビジネスパーソンにとって一つのステータスとなっているのが「年収1000万」だ。
しかし、収入は手元に残って初めて意味がある。実際に年収1000万円を稼ぐ人の中には、思うように手元にお金が残らなかったり、資産を築けていない人も多いという現実を指摘しているのがファイナンシャルプランナーの永田智睦さんの著書『脱・高収入貧乏』だ。
では、なぜ人より多くのお金を稼いでいても、資産構築となると思うようにいかないのか。『「収入はいいけど資産がない」高収入貧乏から抜け出すマネーリテラシー』と題したこの連載ではその原因と対処法に迫る(全4回)。
第2回となる今回のテーマは「家計管理」。収入が多いからこそ、生活の中にはムダな出費が生まれ、そのムダに気づきにくいのだ。
年収1000万円で港区に住めるか?
資産形成においてライフプランニングは欠かせないものですが、未来をみることよりも現在地を見ることの方が実は重要です。現状を客観的に把握して理想的な未来と比べることで、どのような行動が必要なのかが見えてきます。(p82より)
ここでいう「現在地を見る」こととは、現状の出費を把握すること、つまり家計管理である。高収入だからこそ知らず知らずのうちに出て行くお金も多い。日々どれだけムダ遣いをしているかを把握し、少しでも減らす努力が資産形成においては重要だ。
特に固定費の払い過ぎには注意が必要。年収1000万円以上稼いでいる一方で資産がほとんどない人の多くに共通しているのは「無駄な固定費」だ。中でも家・車・保険の3つにかかる固定費が多すぎる傾向があるという。
たとえば「家(住居費)」は、当然収入が高い人ほどお金をかけることが多いが、利便性やセキュリティ面の充実といった合理的な理由だけではなく、見栄やブランド志向から必要以上に高い住居費を払っているケースも多い。
一例だが、年収1000万円で東京都の港区に住めるだろうか? 港区に家族で住める広さのマンションを借りると、家賃は30万円程度。車があるなら駐車場代もかかる。年収1000万円だと、手取りが700万円台。これだけの出費があるとなかなかお金は貯まらないし、赤字になる可能性もある。
持ち家も同様だ。今は頭金を入れずにフルローンで物件を買う人が多い。特に今は金利が低いため、「買うなら今だ」という雰囲気もある。ただ、身の丈に合わない物件をフルローンで買ってしまうと、月々の支払いに汲々とすることになる。特に夫婦でペアローンを使って頭金なしで高額な家を買ってしまうと取り返しのつかないことになる可能性もあるという。
家を買ったとしても、近所に迷惑な住民がいて引っ越さざるをえなくなることもある。そんな時は家を売ることになるが、フルローンで買った場合は売却代金がローンの残額を下回るため、動くに動けなくなってしまう。ペアローンであれば夫婦それぞれが今後も働き続けることが前提。片方が働けなくなったり離婚してしまったりすると困ったことになる。
年収が上がるとついいい家に住みたくなるものだが、年収1000万円前後ではそこまで高額な家に住むことはできないというのも都心の現実。身の丈にあった住居費に抑えることが大切だ。
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ここでは住居費を取り上げたが、保険や車も「払い過ぎ」のケースは多い。本書ではそれら固定費の無駄を洗い出していく。
無駄な出費はカットしてこそ稼いだお金が資産として残る。本書では高所得者が収入に見合った資産を築く方法を指南していく。次回第3回は資産形成についてそのポイントを紹介する。
※本記事はPR記事です。