ウソだらけの確定申告、知らないと損する 狙い目は期限翌日、知らぬ間に税金払いすぎ
(2)一度に1年分しか申告できない?
ついでに、申告し忘れた前々年以前の分をまとめて申告することもできる。所得税の申告は過去5年まで遡ってできるため、極端なことをいえば、いつも税金を取られ過ぎている人は5年に1回まとめて申告してもいいのである
3年前に転職したが、その際に前職の会社が源泉徴収票を送ってこなかったので手続きをあきらめたという人でも遅くはない。前職の会社にしつこく請求し、源泉徴収票を入手して申告すれば還付金を手にできるだろう。
会社任せにせず、自分で計算する
(3)会社がすべて代行してくれる?
医療費もほとんど使っておらず、ふるさと納税もしていないから確定申告などまったく無縁だと思っている人でも、意外と縁があるかもしれない。
特に注意したいのは、アルバイトやパートタイムなど非正規で働く人である。単に毎月の給料から源泉徴収して税務署に納めるだけなら、対象者が多少増えたとしても会社にとっては大した負担増ではない。ところが一人ひとり個別に年末調整までするとなると、その事務処理コストはとても大きい。
そこで、非正規社員については給料から源泉徴収はするけれども「あとは自分で勝手に確定申告してください」としている会社もあるのだ。毎月の給与から天引きされている税額は驚くほどアバウトだ。年間を通して正確な税額を計算すると、何万円も払い過ぎていることも珍しくない。
そこで、前年12月または今年1月の給料明細で、所得税の過不足分が精算されているかどうかをチェックしてみてほしい。還付金があったり不足分が天引きされていたら、年末調整されている証拠だ。もし、それらがなかったら、年末調整はされていないのだから、自分で税金を計算して確定申告をしないといけない。
(4)年末調整は正確に計算されている?
さらに、勤務先の会社が年末調整してくれている場合でも一安心とはいかない。必ずしも各種の控除が正確に計算されているとは限らないからである。
例えば、年末調整の前に会社は従業員に対して、扶養家族の状況を報告する書類や各種の控除を証明する書類の提出(転職した人は前の会社発行の源泉徴収票なども)を求めるのが一般的だが、非正規社員の場合は会社がその手続きを正確に行わないケースもある。従業員が会社からそれらの書類を求められても提出しないこともよくある。
そうなると、結果的には、納めるべき税金の計算も間違ってしまう。特に注意したいのが社会保険料だ。非正規社員は、支払った国民年金や国民健康保険料は自分しかわからないので、年末調整の際にその額を正確に申告しておかなければ正確な税額は計算できない。
その年1年間に支払った社会保険料の総額を所得から控除すれば、その分だけ税金も安くなるので、結果的には、12月または1月の給料に還付金が上乗せされる。
たとえ勤務先が年末調整してくれたとしても会社任せにせず、自分で確定申告するときと同じような計算をして税金を払い過ぎていないかどうか確かめてみるべきだろう。いずれにしろ、税金の計算をするのは非正規社員が損しないための第一歩なのである。
(文=日向咲嗣/フリーライター)