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赤石晋一郎「ペンは書くほどに磨かれる」

4万円渡し18歳女子の服を脱がせ…吉川赳議員がパパ活疑惑を説明できない本当の理由

文=赤石晋一郎/ジャーナリスト
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自由民主党「2021年 衆院選特設サイト」より

 参院選前の岸田政権を直撃したパパ活議員疑惑。渦中の人物となったのは自民党の吉川赳衆議院議員で、6月9日「NEWSポストセブン」と10日発売の「週刊ポスト」(小学館)で相次いで「18歳飲酒とパパ活」疑惑を報じられたのだ。報道は大騒動に発展し、吉川氏は党に迷惑をかけたとして10日夜に離党届を提出し、その後も雲隠れを続けていた。今週になり吉川氏は、7月18日の週にもブログでコメントを発表する方向だとされているが、いったどんなコメントを発表するのかが注目される。

 そこで本稿では、同疑惑の後追い取材をしつつ“パパ活議員”騒動「4つの謎」について掘り下げてみたいと思う。

なぜ議員辞職しないのか

 まず、「第1の謎」は、吉川氏はなぜ議員辞職しないのかということだろう。このことについては7月7日現在、吉川氏は「記者会見をする予定も、議員辞職するつもりもないと周囲に語っている」(政治部記者)とされている。参院選後にも何らかの動きがあるとも噂されているが、吉川氏が議員辞職に消極的だったということは間違いがなかったといえよう。

 吉川氏が辞職を躊躇うのには3つの理由があると思われる。吉川氏は静岡5区で細野豪志議員と熾烈な争いをしていたことで知られている。しかし吉川氏は小選挙区ではことごとく細野氏に敗北、比例復活で辛うじて議席を得ていた。

「かつて山本モナとの不倫報道もあった細野氏に連敗を続けていたわけですから、吉川氏の地元での評判は低かった。それでも岸田派ホープとして優遇され、なんとか比例復活を続けてきたわけです。結局、静岡5区は“イケメン不倫男”と“パパ活18歳飲酒オジサン”の闘いだったのか、と自民党内では嘆く声も出ているそうです」(前出・政治部記者)

 つまりここで辞任してしまえば、無所属となった吉川氏は国政復帰の目がなくなる可能性が高い。辞職を避けたい理由の1つが、選挙の弱さにあるであろうことは容易に想像できる。

 2つ目の理由は、文書文通費(現・調査研究広報滞在費)とボーナスの旨みである。議員にボーナスが支給される6月30日、メディアは一斉に吉川氏がボーナスを受給したことを報じた。例えば以下のように議員特権ともいえる状況が追及されたのだ。

<18歳女性に飲酒させたと報じられた吉川赳衆院議員=比例東海=に30日、夏のボーナスに当たる期末手当286万1358円が支給された。9日に問題が発覚した吉川氏は10日に自民党を離党したが、公に説明していない。10日には6月分の歳費103万5200円が支給された。10日と30日には同月分の調査研究広報滞在費(旧文書通信交通滞在費)も50万円ずつ計100万円支払われた。問題発覚後、国から支払われた総額は500万円近くに上る>(6月30日配信 東京新聞web記事より)

 この金を潤沢にもらえるメリットについては、「議員の給料って、話題の交通費(文通費)とか入れて160万くらい。オレ金持っていてもロクなことに使わないのよ。信用できる子と遊びたくてさ」なとど吉川氏が饒舌に語っていたと「週刊ポスト」でも報じられている。

 父親は元県議で、地元では福祉施設などを経営している資産家一族として知られる吉川氏だが、やはり議員の高収入メリットは捨てられないということなのだろう。

 3つ目の理由といわれているのが「国会議員」という肩書である。自民党関係者によれば「吉川氏は港区のキャバクラなどで『おれ衆議院議員なんだ』と自慢をして女性を口説いていた。『静岡の地元で遊ぶより、港区で飲み歩くほうが楽しい』とも語っていて、ある意味で議員生活を謳歌していた」のだという。

 つまりは、議員という肩書があるだけ周囲にチヤホヤされ、自己承認欲求が満たされる。こうした議員特権ともいえるメリットを失うことは、吉川氏にとっては大きなデメリットなのだといえるだろう。だから議員辞職に躊躇していたと考えられる。

なぜ6月のタイミングで報道

「第2の謎」はなぜ6月のタイミングで報道があったのか。筆者の取材によると永田町の一部では「岸田派の自民党議員が、いろんな女性とパパ活を繰り返している」というウワサが流れていたことは事実だったようだ。港区には国会議員が通うパパ活クラブがあるという情報もあり、「パパ活をしている国会議員は誰だ?」と複数の週刊誌が注目していたといわれている。

「週刊ポストは早々と吉川氏をターゲットとしていたようですが、編集部の本命は芸能人との交際もしくはパパ活だったといわれてます。吉川氏自身、いろんな女性と遊んでいるという情報はあれど、なかなか確証を得ることができず取材が難航していたそうです」(週刊誌記者)

 そうしたなかで激写されたのが女子大生とのパパ活だった。週刊誌のセオリーとしては、なるべく国会会期中にスキャンダルは報じたいと思うもの。その理由は、国会でも質問にあがる可能性があると同時に、新聞記者の囲みも受け報道が過熱しやすいからだ。実際に9日には国会通路あたりで記者に囲まれ質問を受ける吉川氏の映像がテレビでも繰り返し放送された。おそらく編集部としても、取材を長引かせるよりも国会会期中に手持ちのスキャンダルで勝負しようという発想になったのだろう。

パパ活をしていた場所はどこか

「第3の謎」は吉川氏がパパ活をしていた場所はどこか? という問題であろう。「週刊ポスト」の記事では<夜景がきれいなことで有名な高級焼き肉店>と<お台場の高級ホテル>という情報だけが明かされていた。筆者が後追い取材をした結果、<夜景がきれいなことで有名な高級焼き肉店>は、汐留にあるHであることは判明した。電通に隣接する場所にある女子受け抜群の高級焼き肉店である。

 次に<お台場の高級ホテル>であるが、これは写真などから分析すると外資系ホテルHである可能性が濃厚だといえよう。焼肉店からホテルまではタクシーで約20分の距離である。焼き肉店の夜景で女性を口説いてからホテルに行こう、というのが吉川氏のプランだったのかもしれない。

 しかし吉川氏が女性に不快な思いをさせただけであることは、「週刊ポスト」の記事からも想像できる。以下、女性が語った言葉を「週刊ポスト」の記事から引用する。

<4万円のお小遣いをいただいて、バーに行くだけだからって……。バーだったはずがホテルの部屋で飲むと言われて。何も考えずについて行ってしまった私が悪いんです(中略)ルームサービスでお酒を頼んだあと、すぐに吉川さんにベッドで服を脱がされて……。私、経験がなかったから、怖くて過呼吸になってしまい。経験がないからと何度も拒否をしたら、『胸を見せて』と言われて、吉川さんは私を見て自慰行為を始めて……。私、断わるのが苦手で。部屋に行った私が悪いんだとわかっています。本当にごめんなさい>

パパ活費用が“なぜ4万円”だったのか

「第4の謎」は吉川氏のパパ活費用が“なぜ4万円”だったのか、である。上記引用のように女性は<4万円のお小遣いをいただいて>と証言しており、一連のパパ活代金が4万円だったことが推察される。

 筆者がかつて取材したことのある「愛人やパパ活に詳しい女衒(女性を紹介するアテンダー)」だった人物はこう語る。

「愛人契約の相場は30万円とされています。もちろん女性のレベルによってはその金額は青天井になるのですが、一般的な相場はこれくらい。なぜ30万円なのかというと一人暮らしの女性が家賃を払って生活に困らない程度の金額が『30万円』という金額なのです。大まかにいうと家賃15万+生活費15万円というイメージです。この愛人契約だと肉体関係は週1回というのが相場だから、月4回会うということになる。つまり30万円÷4で換算すると一回あたり7~8万円以上というのが相場だといえるでしょう」

 まず前提としては税金を原資とする歳費や文通費、ボーナスを受け取る国会議員が“パパ活”という不道徳なことに出費をするべきではないし、公人としてありえない、というのが世間の常識であることに言及しておく。

 そこでいったん倫理問題は横に置き、吉川氏のケースを見てみよう。彼に上記の相場観があったのかは不明だが、4万円というのは文通費を含めて100万円以上、ボーナス約290万円を受け取る人間としては、いかにも少ないといえよう。

「週刊文春」(文藝春秋/6月23日号)によると吉川氏は<その子は男性経験が無いからどこかで経験したかったらしく、『初めては優しい吉川さんがいいから』ってホテルまで来て、シャワーを浴びた。でも彼女が過呼吸みたいになっちゃって、ホント困っちゃったよ>と語っていたという。

 そんな都合のいい話が現実世界にあるとはにわかには信じがたいが、言葉の真偽は別として、要は食事を共にするパパ活費用の4万円を払って、“タダ乗り”しようとしていたというのが真相ではないかと筆者は分析する。つまり吉川氏は倫理観のなさだけではなく、人としてもセコかったといえるだろう。吉川氏が記者会見ではなくブログでコメントを発表するというのも、「多くの人の前で疑惑について立派に話をできるウツワではない。記者会見という選択肢は最初からなかった」(自民党関係者)という部分が大きいという。

 そんな吉川氏を岸田文雄首相は「岸田派のムードメーカー」と可愛がっていた。「NEWSポストセブン」によると、吉川氏が地元で配っていた「自民党入党のお願い」でも、岸田首相は以下のような内容の文を寄せていたという

<私が会長を務めております政策集団『宏池会』のメンバーでもあり、共に同じ志を持って政治に邁進している同志です(中略)自民党の若手議員の中でも、宏池会の中でも、将来を嘱望され、また現在でも即戦力として国政の最前線で活躍しているホープです>

“岸田派ホープ”のあまりにお粗末な“パパ活”議員騒動。吉川氏を持ち上げてきた岸田首相の人間を見る目のなさも改めて浮き彫りとなった騒動だったといえよう。

(文=赤石晋一郎/ジャーナリスト)

赤石晋一郎/ジャーナリスト

赤石晋一郎/ジャーナリスト

 南アフリカ・ヨハネスブルグ出身。講談社「FRIDAY」、文藝春秋「週刊文春」記者を経て、ジャーナリストとして独立。
 日韓関係、人物ルポ、政治・事件など幅広い分野の記事執筆を行う。著書に「韓国人韓国を叱る 日韓歴史問題の新証言者たち」(小学館新書)、「完落ち 警視庁捜査一課『取調室』秘録」(文藝春秋)など。スクープの裏側を明かす「元文春記者チャンネル」YouTubeにて配信中

Note:赤石晋一郎

Twitter:@red0101a

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