自分を育ててくれた親とはいつまでもいい関係でいたいと思うのは誰しもが同じはず。でも、事情によってそれができない場合もあります。
代表的な例が子どもに対してネガティブな行動パターンを繰り返し、子どもの人生を支配しようとする「毒父」です。
『毒父家族 ―親支配からの旅立ち』(さくら舎/刊)の著者で心理カウンセラーの井上秀人さんは、幼い頃から学歴至上主義で、頑固で、自分の考えが通らないと子どものように感情をあらわにして、時に暴力を振るう「毒父」との関係に悩まされてきたといい、本書で自身の体験を踏まえつつ、こうした親の支配を乗り越えて自分の人生を生きるために大事なことをつづっています。
■「毒親」真の問題点
「毒父」も含めて、「毒親」の問題点は、親が自分のエゴを子どもに押しつけることだと井上さんはいいます。
親といっても完璧な人間ではありませんし、完璧な子育てもありません。最初は手探りで、失敗をしながら少しずつ「家族」の絆を作っていくものです。その意味では、どんな親も、どんな家庭も、多少の問題点はあるはずです。
このことを客観的に認識できないため、自分のしていることが「子どものため」と信じて疑わず、一方的に自分の価値観を押しつけてしまうのが「毒親」だといえます。
■「親のような子育てはしない」と反面教師にしてきたつもりが…
「毒父」は自分の生き方に自信を持てないからこそ子どもに自分の価値観を押し付けると井上さんは指摘しています。
不安だからこそ、子どもに自分の理想の生き方を重ね合わせ、自分の正しさを証明しようとしているのです。子どもは、そんな親に気に入られようと、必死に頑張ってしまいます。結果、自分の意向より、親の意向を優先するようになります。
こんな環境で育った子どもは、親の言う通りに従順に生きるか、それとも正反対の道を行くかに分かれますが、どちらにしても親への怒りを貯めこみながら生きることになります。そして、やがてできた自分のパートナーや子どもに、その怒りを吐き出すようになると、毒親の負の連鎖が何世代にもわたって受け継がれてしまいます。「親のような子育てはしない」と反面教師にしてきたつもりでも、ある時に子どもへの接し方が親とそっくりな自分に気づき愕然とする人もいるようです。
ここまでの内容に心当たりがあるなら、なんとしても自分のところでこの負の連鎖を断ち切らねばなりません。
井上さんは、このためのポイントとして、自分の過去と向き合うことで子どもの頃から抑圧されてきた自分の感情を認めてあげることに加えて、“「自分軸」を見つけること”を挙げています。
これは、「親の価値観」を押しつけられ、それに従うだけだった自分から、迷った時に立ち戻る「指針」を持つ自分に変わるということ。時間はかかりますが、これは取り組み次第で克服することができます。本書では、その具体的な内容に触れられており、親が原因で生きにくさを抱えている多くの人の助けになってくれるはずです。
(新刊JP編集部)
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※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。