今や私たちの生活になくてはならないものとなったインターネットやSNS。
これらは誰にもやり方を教わる機会がなく、普及するに任せて使い始めたものだからこそ「なんとなく知ってはいるが、正確には理解していない」ということになりやすい。そこに脅威やリスクがある。
『知らずにやっているネットの危ない習慣』(吉岡豊著、青春出版社刊)はわかっていそうでわかっていないこれらについて解説してくれる一冊。「そんなの知っているよ」と思わず、自分の知識が正しいかどうか確認してみてはいかがだろう。
インスタの「ストーリー」は24時間で消えるがダウンロードも可能
月間アクティブユーザーがツイッターを超えたインスタグラムは、テキストで説明するのではなく画像一枚で成立する手軽さが受けている。若い世代でなくても利用する人は増えているが、写真から個人や住所が特定されるリスクについては留意が必要だ。
インスタグラムの場合、投稿画面にカメラ機能がついているため、「画像をよく確認しないままアップしてしまった」ということになりやすい。うっかり住所バレたりしないよう注意が必要だ。
またストーリー(24時間で自動消滅する機能)をつかって悪ふざけやわいせつな動画を投稿するユーザーもいる。どうせすぐに消えるから拡散されないと思っている人がいるようだが、動画をダウンロードする方法もあるため、保存・拡散される危険は十分にあると思った方がいい。
友人の結婚式動画が著作権侵害になる可能性とは
インスタグラムの例は、投稿したものから身元がバレて、ストーカーなどの犯罪被害者になる可能性について書いたものだが、無意識に加害者になったり、違法行為を行う側になってしまう可能性もある。
代表的なのが、インターネット上にアップした動画や画像によって著作権や肖像権を侵害してしまうケースだ。
このご時世、録画されたテレビ番組や映画の海賊版をユーチューブなどの動画サイトにアップする行為が違法だということは多くの人は知っているはずで、基本的には「そんなこと自分がするわけがない」と思っているかもしれない。
しかし、こんな場合もある。友人や知人の結婚式の動画をユーチューブやSNSに投稿したが、そこに会場で流れていたBGMが入ってしまっていたら、著作権侵害にあたる。
また、「歌ってみた動画」や「弾いてみた動画」などは、CD音源を流しながら歌ったり演奏をすると著作権侵害にあたる可能性があるという。さらに、著作隣接権侵害にあたる可能性もあるので、気を付けるべきだろう。
あるいは、一時期流行した、人気ドラマの主題歌に合わせてダンスを踊る動画も、厳密に言えば著作権侵害にあたる。音楽を使うことはもちろん、ダンスの振り付けにも著作権があるからだ。
2019年1月1日に施行された新しい著作権法によって、著作権の一部が非親告罪になったとはいえ、こうした行為が即座に告発され、罪に問われるわけではないのかもしれない。だが、動画をアップする際に、何が著作権侵害にあたるのかは知っておいた方がいい。
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本書で紹介している事例には、「そんなの知っているよ」というものも多いかもしれないが、知らずにやってしまっていることもあるかもしれない。ネット社会で被害者にならないために、そして加害者にもならないために、インターネットやSNSでトラブルになりうる行動について、知識を深めておくべきだろう。
(新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。