テニス・楽天ジャパンオープンでは惜しくも決勝進出を逃した錦織圭選手。そんな錦織選手はコーチにマイケル・チャン氏を迎え、2014年は大きな飛躍の年となった。
彼の中の何が変わったのか。その大きなひとつは、マイケル・チャンコーチから精神面に大きな影響を与えられたことだ。
錦織選手についてそう語るのが本書『上達のコツ』(中山和義/著、きずな出版/刊)の著者である中山和義氏だ。本書では、心理カウンセラーであり、大人気のテニススクールオーナーでもある中山氏が、仕事や勉強にも応用できる「上達するためのコツ」を紹介する。
錦織選手はフェデラー選手との決勝戦の前に「フェデラーと決勝で対戦するなんてワクワクします。彼は偉大な選手で、昔から私の憧れなんです」とインタビューで答えた。それに対してマイケル・チャンコーチは「尊敬する選手であっても、コートの上では自分の行く手を阻む邪魔な存在でしかない」と、錦織選手に厳しく指摘。トップ選手に対して必要なのは、憧れではなく、「勝てる」という強い気持ちを持って戦うこと。考え方を変えることで、飛躍のきっかけになったのだ。能力や努力ももちろんあってのことだが、精神的な面も大きく影響するということだ。
スポーツでも、仕事でも、メンタルの強さが結果を左右する。本番や試合で力を発揮できない、普段の努力を続けられないというのも、メンタルの弱さが原因のひとつとなる。
では、緊張したときにも力を出せるようにするにはどうしたらいいのか。いくら努力して技術を高めても、それを本番や試合で発揮することができなければ、本当に上達できたということにはならない。そのためには精神力、メンタルを強化するメニューを練習に取り入れることが必要になる。
試合や本番で緊張してしまう原因は、練習では失敗が許されているのに対して、本番では失敗が許されないという大きな違いにある。そこで、本番で緊張しないためには、練習のときから失敗を許さないような練習をする必要がある。練習のときに、失敗をするのが当たり前だという意識が強くなってしまうと、本番で絶対にミスをすることができないという場面に追い込まれたときに、そのギャップが大きくなって、緊張から力を発揮できないことになってしまう。「練習のときに、あれだけできていたんだから、大丈夫だ。絶対にできる」と思えるように、失敗したくないというプレッシャーがかかるような練習を行い、メンタルを強化することが重要となる。例えば、10球連続でコートに入るまで練習が終わらないというルールを作り、絶対にミスできないという意識を持って練習することだ。
緊張をする場面でも、成功をすることができるという強い自信を持つことができれば、練習の力を発揮できるということだ。
努力を続けていても、結果が出ないとき、考え方や練習方法を変えることでレベルアップできることがある。本書は主にテニスを例にして書かれているが、仕事や趣味でも、そのヒントになるはずだ。
(新刊JP編集部)
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※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。