普段まじまじ見ることの少ない日本地図。 ですが、よくよく見ると「あれっ?」という気付きや発見に満ちている奥深いものです。たとえば、埼玉県の中に「東京都」があるのを知っていましたか?
■埼玉県の一角にある「東京都」
埼玉県新座市の中にぽつんとある西大泉町は面積2000平方メートルほどの小さな町ですが、実は帰属は東京都練馬区。つまり練馬区の飛び地です。
おもしろいのは西大泉町が飛び地であることに長年だれも気がついていなかったこと。1973年に不動産業者が気づいたことでようやく西大泉町がどこに属するのかが問題になったといいます。
位置的には完全に「新座市」なので、練馬区は西大泉町を新座市に編入することを考えましたが、それには「その地に住む全員の同意を得る」という条件が。この条件によって、まだこの町は飛び地のままになっています。
■実は決まっていないことも多い日本の県境
日本地図を見ると、各都道府県の境界はきっちりと描かれて、輪郭がはっきりしています。
でも、境界がすべて決まっている県の方が実は少なく、栃木や福井、奈良、島根、山口など9県しかないことはあまり知られていません。日本全国の境界未定地の面積をすべて足すと、岩手県と同じくらいの大きさになるそう。
なぜ県境が未定のままになっているのかというと「決まっていなくても特に不都合がないから」という理由に尽きます。そこに住む人ですら境界が決まっていないことを知らないことも珍しくないのだとか。
■琵琶湖の中は何市なのか?
日本で一番大きな湖である琵琶湖にも、地図にまつわるちょっとしたトリビアが。
実は、琵琶湖の中にも境界線があり、「この部分は〇〇市、ここからこっちは▲▲市」と定められています。かつては琵琶湖内に市境はありませんでしたが、経済的な理由によって境界ができたそう。
というのも地方交付税は自治体の面積に応じて支給されます。もちろん面積が大きいほど地方交付税は大きいため、琵琶湖も面積に入れてしまおうということで市境が引かれました。ちなみに現在は行政処理上の必要からほとんどの湖には境界があるようです。
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(新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。