「どこでもドア」や「スモールライト」など、子どもの頃「ドラえもん」を見て、四次元ポケットから出てくる秘密道具の数々に「こんなことができたらいいな」と胸をおどらせた人は多いはず。
一方で現実世界に目を移すと、ドラえもんが四次元ポケットから出した道具のいくつかは、すでに存在することにお気づきだろう。
■『ドラえもん』の道具が次々に実現する時代
『「まだない仕事」で稼ぐ方法』(ワニブックス刊)の著者、吉角裕一朗さんによると、ドラえもんがポケットから出した2000種類あまりの道具のうち、5%ほどは類似した機能を持つ製品がすでに存在しているという。
例を挙げると、近道を教えてくれる「近道マップ」は「地図アプリ」として実在しているし、知らない言葉を翻訳してくれる「ほんやくこんにゃく」はGoogleなどが提供する音声翻訳として実装されている。「ポラロイドインスタントミニチュアせいぞうカメラ」は、今でいう3Dプリンタだ。技術の進歩は、昔私たちが考えていたよりもはるかに速く進むものなのだ。
■これからは「働く人」より「発想できる人」が勝つ
四次元ポケットに象徴されるように、子どもの頃は無邪気に「こんなものがあったらいいな」と思えた道具も、いざ出現してみるとある種の不安を呼び起こす。夢としか思えなかった道具を実現させた技術力によって、自分の仕事がなくなるのではないかという不安である。
すでにあちこちで言われているように、スーパーのレジ係やホテルの受付、銀行の融資担当などなど、AIやロボットの高度化によってなくなっていく仕事があるのは確かだろう。一方で、機械では代替できない仕事があるのも事実。吉角さんによると、それは「人間の感情や創造性、教育といった、何かを生み出したり、人の心に寄り添うような職業」だという。
では、こうした職業で活躍したり、新しいビジネスを立ち上げて成功させたりするための資質は、どのようなものなのだろうか。それは、これまでビジネスパーソンに必要とされてきた資質とは全く違うものだ。
吉角さんは「働く人より発想できる人が100万倍の価値を生み出せる」として、言われたことを忠実にこなすことに価値が置かれた時代の終わりを強調し、これまでになかったサービスやビジネスを発想していくための着眼点を、
・今ある不便を何とかしたいという視点
・「こうすればもっと楽しくなる」という視点
だとしている。この二つを満たしたところに、まだ見ぬ斬新なサービスやプロダクト、ビジネスがあるのだ。
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子どもの頃は夢のような話だと思っていた四次元ポケットの道具も、今や決して夢物語ではない。本書では、これまでにドラえもんの道具のどれが具現化したかを紹介するとともに、テクノロジー全盛時代にどう働きどう生きるかについても考察していく。これからどんな未来が待っているのか不安な人、新しい技術を利用してビジネスを立ち上げたい人にとっては、手に取ると大きな示唆を得られるはずだ。
(新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。