会社に入社し、勤続年数も長くなれば、部下を持つことになる。とはいえ、まだ仕事に慣れない部下に任せて大丈夫なのだろうかと不安になることもあるはずだ。
実際に人を育てる立場になったときに、育てることの難しさを痛感している人は多いだろう。では、人を指導する、育てる立場になったとき、部下とどのように関わればいいのだろうか。
『人を見る目を持つ』(梅島みよ/著、クロスメディア・パブリッシング/刊)は、70年間、ビジネスの第一線で働いてきた“90歳の人材コンサルタント”梅島みよ氏が、自身の経験から気付いた仕事と人間関係のコツを紹介する一冊だ。
仕事の職場において先輩社員やベテラン社員は、後輩に仕事を教えたり、困ったときの相談相手として頼られる存在だ。しっかりしたリーダーがいると、安心して仕事に取り組み、いい雰囲気のある職場になる。そういった空気を作るのがマネージャーの仕事だ。
ところが、中にはマネージャーになったことを重荷に感じたり、これまで通りの仕事だけをこなしたい、「仕事のプロではありたいが、マネージャーなんかやりたくない」という人もいる。そういう人の特徴にありがちなのが、仕事を部下に任せられず、つい何もかも自分でやってしまうことだ。その点を指摘されると、「部下に任せると良い結果が出ないから、つい自分でやってしまう。その方が早いし効果的だ」などと言い訳するが、これはその人の決断力のなさの言い訳だと梅島氏はいう。
こう言うと部下も、自分は全く信頼されていないと感じて、やる気がなくなってしまう。反対に、部下に任せるが任せっぱなしで、そのための指導や教育も不十分で、部下は苦労するし、成果も良くないというマネージャーもいる。
著者の理想は、マネージャーは部門の目標達成と部下育成のために、部下教育し、能力を見て評価し、彼らを成長させるために、それぞれの仕事に適材適所につけ、指導しながら徐々に任せていくという教育方法だ。
例えば、顧客満足のための教育プログラムは、顧客満足の重要性を説くが、その前に、その組織の従業員の満足がなければ、顧客を満足させる組織にはならないだろう。マネージャーとして部下に働き甲斐を感じさせ満足させることが、結果として顧客満足につながり、部門の業績向上にもなるのだ。
40代と20代では、働くことの考え方からギャップがあることも多いし、価値観も違う。今の時代、マネージャーに必要なことは、若い部下とよく話し合うこと、そして信頼し、リスクがあれば支援し、度胸をすえて任せることである。
どの分野のどんな仕事でも人との関わりで成り立っているもの。本書のタイトルの通り、人を見る目を持ち、相手のことを知り、良い信頼関係を築くことが大事なのだろう。これが難しいことではあるが、梅島氏の多くの経験から学ぶことも多いはずだ。
(新刊JP編集部)
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※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。