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ツラくてダルい勉強をエンタメに変える中田敦彦流「独学術」

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※画像:『勉強が死ぬほど面白くなる独学の教科書』(SBクリエイティブ刊刊)

 子どもの頃から勉強が苦手。暗記も不得意で…という人は多いだろう。

 大人にとっても勉強は大切だ。仕事のスキルアップのための勉強はもちろん、幅広い人たちと関係を築き、自分自身をアップデートするためには、教養の深さが問われる。そうしたものを身につけるのも勉強の一つだ。

 では、勉強へのモチベーションを上げるにはどうすればいいのか。

 タレントであり、教育系YouTuberとしても活躍中の中田敦彦さんは著書『勉強が死ぬほど面白くなる独学の教科書』(SBクリエイティブ刊)の中で、「独学はこれからの必須スキルになる」としたうえで、学校で教えてくれなかった勉強をエンタメ化し、楽しく知識を深めていく術を伝授する。そのキーワードは、「勉強は最強のエンターテインメント」だ。

 本書を読むと、ちょっとした視点の転換や物事の探り方を変えるだけで、勉強は楽しいものになることが分かるだろう。その内容をいくつか紹介していこう。

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 本書では、「歴史(日本史、世界史)」「文学」「政治・経済」「英語」という4つのジャンルを取り上げ、それぞれ勉強が面白くなるコツを伝授する。

 いずれも苦手意識を一度持つと手をつけるのがなかなか難しいが、中田さんが教える方法はそうした人にこそ知ってほしいものばかりだ。

●「歴史」はドラマとして捉えよ!

 多くの人は日本史か世界史どちらかを重点的に勉強してきただろう。しかし、日本は世界の中の一つの国であり、常に海外の国々から影響を受けてきた。世界史を学ぶと日本史も理解しやすくなり、歴史の大きなうねりを感じることができるようになる。

 例えば、鎌倉時代にモンゴルが攻めてきた「元寇」を世界史の視点から見ると、東・北アジアを支配していた大国が極東の島国に攻め込んだということになる。日本史で語られるイメージにはないスケールの大きさを感じられるはずだ。

 また、歴史上の為政者たちは共通した行動を取っている。豊臣秀吉が大仏の鋳造を理由に行った「刀狩り」は、実は中国・秦の始皇帝が同じような政策を行っている。さらに、徳川家光がつくった「参勤交代」も、似たような制度を始皇帝が紀元前につくっていた。

 「歴史」は人間たちが生み出したものであり、その中にドラマがないわけがない。そうした人々の息遣いを感じたり、自分からいじってみたりすることで、歴史が急に身近に感じられるようになるのだ。

●文学作品の楽しみ方は、最初の一行と最後の一行に注目すること

 夏目漱石『吾輩は猫である』、太宰治『人間失格』など、文学作品というと「タイトルは有名だから知っているけど内容をよく知らない」「教科書で習った記憶はあるけど覚えてない」などという人が多いだろう。

 中田さんは、テレビのクイズ番組などで「文学」をテーマに出題されるとき、最初の1行や最後の1行から出題されるケースが多いことに気づき、クイズ対策として、最初の1行と最後の1行に注目して覚えようと心がけたという。

「吾輩は猫である。名前はまだ無い。」(夏目漱石、『吾輩は猫である』)など、たしかに改めて見てみると、文学作品の1行目はどれもインパクトのある文章ばかりで、最後の1行がきれいに終わると、読後感もよいものになる。

 最初の一文の書き出しと、締めの一文に視点を置いて、文学作品を読んでみると、作品の理解が深まることにつながる。 これは「文学作品を教養として内容もおさえておきたい」という人向けに、文学の世界を楽しむきっかけづくりになるだろう。

●通貨の歴史を学ぶと「政治・経済」は俄然面白くなる

 近年の経済の重要なトピックの一つが仮想通貨だ。この、いかにもアヤしい存在に対して、中田さんは「調べてみると、この先、仮想通貨は避けて通れない」とまで断言する。

 仮想通貨を理解するためには、まず貨幣の歴史をおさえることが大事だ。

 そもそも物々交換を営んでいた人間は、欲しいものをより確実に手に入れるために、交換の仲立ちとして「貝」「稲」「塩」などを使うようになる。これが通貨の出発点だ。その後、金や銀が仲立ちの主流となるが、「重くて不便」ということから紙幣が登場する。紙幣はもともと金と交換していたが、金の不足から、金の量と関係なく発行されるようになった。こんな経緯がある。

 つまり、通貨の仕組みは常に変化してきており、仮想通貨もその変化の一部だということが分かる。あまりにも当たり前の存在すぎて「お金とは何なのか」を考える機会は少ないが、中田流独学術は、その根源まで深掘りするきっかけを提示してくれるのだ。

●「受験英語」は意味がない。日常会話を学べば新鮮な気持ちで学べる

 学生時代で覚えた英語が外国人に通用しない。そう、受験勉強の英語と日常会話で使う英語はまったく違うものだったりする。

 中田さんは英語系YouTuberの動画を見て、そこで学んだことを自分の動画で紹介するという動画を毎日更新している。これは「近い将来、アメリカに行く」という夢を実現したいとの思惑が裏テーマになっているという。

 となると、大事なのはアメリカで自分の言いたいことを伝えるための「日常会話」だ。 「How are you?」には「I’m fine.」と返事すると教わったが、実は「How are you?」は「ウィーっす!」程度の意味の言葉。「I’m fine.」という決まった定型文を返すことが重要ではなく、「挨拶をする」という行為が大切だ。だから、返事も「How are you?」で良い。

 英会話英語からコミュニケーションの本質を知る。「意味がない潤滑油としての日常会話を学ぶことは、けっこう新鮮な体験です」と中田さんは述べる。

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 前述のように「教育系YouTuber」として活躍している中田さん。

 主に20代から30代の若者たちに向けて、「新時代を生き抜くための教養」というこれからの必須アイテムを身につけようと啓蒙する。ただ、その教養は誰かが教えてくれるものではなく、自ら学ぶ姿勢を持たなければ何も身に付かない。だからこそ、「独学」が大切になるのではないだろうか。

 勉強はまさにエンターテインメントであり、やればやるほど、知れば知るほど楽しくなる。学び直したいと考えているすべての人にとって参考になる一冊だ。
(新刊JP編集部)

※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。

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