大学四年生にとっては、今は最後の春休みの真っ只中。これが終わればいよいよ新社会人である。
電話の取り次ぎ方、名刺交換の仕方、身だしなみの整え方……。新社会人がおぼえるべきことは多いが、その一つが「メールの作法」だ。
ビジネスメールのやり取りには、学生生活では必要のなかった細かなマナーや気配りが必要とされることも多い。この時期に正しい知識を身につけておけば、4月からの新生活でコミュニケーション面の不安が一つ減ることになる。
ここでは、新社会人がやりがちなビジネスメールのマナー違反の事例をいくつか紹介していこう。
お願いするときに、「~していただけないでしょうか?」は失礼
まだ仕事に不慣れなうちだからこそ、先輩や上司に何かをお願いする文面は身につけておくべきだ。
この「お願いメール」は、丁寧さはもちろん必要だが、それだけでは不十分。 ありがちなのが「~していただけないでしょうか?」という否定の疑問形でメールを送ってしまうことだ。
これは一見すると丁寧にみえるが、相手に詰め寄っているニュアンスもある。率直に「~をご依頼申し上げます」と書くのが正解だ。
目上の人に「参考までに」意見をもらうのも失礼
新人であれば、まわりの人は十中八九、自分よりも多忙な人か目上の人。当然、そうした人たちにアドバイスや意見をもらう機会も多い。
そして、そうしたシチュエーションで使ってはならないのが、「参考までにご意見をお聞かせください」というフレーズ。
仮に参考程度に聞く場合であっても、「参考までに」というフレーズは使わないのが社会人としての礼儀だ。
「お祝いの言葉を送ったつもりが……」なパターン
ここからは、やや上級編。すでに社会に出て数年経つような人でも、知らずに使ってしまいがちな言い回しを紹介する。
たとえば、独立して間もないクライアントに「独立開業おめでとうございます。真っ赤なロゴデザインが素晴らしいですね」というお祝いのメールを送ったとしよう。
一見、普通のお祝いメールだが、この文面には「忌み言葉」が使われている。忌み言葉とは、「閉じる」「傾く」「流れる」といった具合に不吉な状況を連想させる言葉のことで、上の例でいえば「赤」がそれにあたる。
忌み言葉には様々なものがあり、すべてを覚えるのは難しい。最低限いくつかは頭に入れておき、メールを送る前に「忌み言葉は含まれていないか」とチェックする癖をつけるだけでも、周囲に差をつけられること請け合いだ。
「どうぞお体をご自愛ください」は「頭痛が痛い」と同じくらい残念な間違い
最後にもうひとつ、多くの人が知らずに誤用してしまっているものを紹介しよう。
それはメールのしめくくりでよく見かける「どうぞお体をご自愛ください」というフレーズ。実は、「ご自愛ください」がすでに「お体にお気をつけください」という意味を含んでいる。したがって、「お体をご自愛」とすると意味が重複してしまうのだ。
これは相手の印象を悪くするほどではないが、社会人として恥ずかしくないメールを送りたいなら、ぜひおさえておきたい知識といえよう。
ここで紹介したものはすべて『入社1年目から差がつく! ビジネスメール即効お役立ち表現』(中川路亜紀著、集英社刊)に掲載されているもの。
本書では他にも、「相手のミスを知らせる」「客先に意見を返す」など、判断に迷うシチュエーションも含め、多くの「お役立ち表現」が紹介されている。
4月から新社会人になる読者はもちろん、新社会人を部下として受け入れる側のビジネスパーソンも、赤っ恥をかかないためにチェックしておいてはいかがだろう。
(新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。