仕事の中で意外に手間なのが「メール」。
どう書けば失礼がないか。どこまで説明すればいいか。どの言葉を使うのが適切か。そんなことをあれこれ気にしてメールがなかなか片付かない人は少なくないでしょう。
『気のきいた短いメールが書ける本――そのまま使える! 短くても失礼のないメール術』(中川路 亜紀著、ダイヤモンド社刊)は、そんな「仕事のメール」に割く時間を一気に減らし、しかも、端的でほどよい礼儀正しさをもったメールが書けるようになる一冊。
本書では、基本的なメールマナーから、シチュエーションに応じた短くても気のきいたメールのポイントが紹介されています。
「ワンパターンな書き出し」は、むしろ読みやすい
「気のきいたメール」と聞くと、いろいろ工夫をしたほうが良さそうなイメージがあるかもしれませんが、そんなことはありません。
たとえば、「お世話になっております」で始まり、「よろしくお願い致します」で終わるワンパターンのメールでいいのか迷う人もいるでしょう。
しかし、特別なことがない限り、ワンパターンのほうが相手にとっても「いつも通りで大丈夫なんだな」と一目でわかるので、お互いに時間を節約できます。
つまり、「気の利いたメール」とは、相手に配慮したわかりやすいメールなのです。
メールの「件名」はその筆頭です。相手に配慮した「気のきいた件名」には3つの条件があります。
・相手の受信箱の中で他のメールと区別がつく
・長すぎない(重要な部分が隠れない長さ)
・具体的でわかりやすい
たとえば、「打ち合わせのお願い」ではなく、「【○○商事】打ち合わせのお願い」と“ヘッド”を入れれば、他のメールと区別がつきやすくなります。
また「【訂正】販売店会議の資料」「【要返信】△△委員会出席のお願い」「【ご報告】展示会を開催します」のように、“ヘッド”+“端的な内容”にすると、スッキリします。
本文も、「たいへん」「非常に」「とても」などの強調語の多用や、先々の段階のことまで事細かにかいてしまう「先回りメール」は、長文になる原因なので、思い切って削り、シンプルにすると読みやすくなるはずです。
メールの「やりとりの終わり」はどこ?
意外に判断が難しいのが、メールの「やりとりの終わり」です。
メールのやりとりは、「お願い事をした側」のメールで終わるのが基本です。
ただし、多くの人が気を使うようなVIPや目上の人を相手にするときは、こちら(目下)のメールで終わるようにすると安心です。
やりとりを締めくくりたいときは、「終わりの合図」になる言葉を書くといいでしょう。
・「それでは、当日よろしくお願い致します」
・「いろいろとありがとうございました。まずは、これで進めさせていただきます。」
・「またお目にかかれる機会を楽しみにしております」
これで、やりとりの終わりに迷うことはなくなります。
事務的な「最短メール」に「ほどよい礼儀正しさ」を入れる
本書では、「アポ」「問い合わせ」「感謝」といったビジネスのよくある場面での「最短メール」「気のきいた短いメール」「ていねいメール」の3段階のバリエーションを紹介しています。
たとえば、相手から決定事項などの連絡を受け取った場合の返信の場合、「最短メール」は、次のようになります。
ご連絡ありがとうございました。
それでは、○日(水)午後△時にお待ちしております。
よろしくお願い致します。
最短メールは簡潔ですが、場合によっては事務的で冷たい印象になるかもしれません。これを「気のきいた短いメール」にすると、次のようになります。
□□社の高橋です。
ご返信ありがとうございました。
それでは、打ち合わせは、弊社にて、
○日(水)午後△時からということでお願い致します。
ご足労いただき恐縮ですが、
なにとぞよろしくお願い致します。
どちらも「メール受信のお礼」「内容の復唱」「結びの言葉」という構成は同じですが、後者は簡潔でありながら、ほどよい礼儀正しさを感じます。
ここからさらに謙譲の意を込めた文面にすると「ていねいメール」になります。また、内容や状況に応じてプラス表現を入れると、さらに印象は良くなります。
本書ではそのまま使える文例も多数あるので、自分の仕事でよく使うメールのパターンを覚えておけば、好印象なメールを短時間で書けるようになるでしょう。
(ライター/大村佑介)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。