モチベーションを保って仕事をするのが本当に難しい時代になった。
給料が上がりにくかったり、労働時間が異常に長かったり、役職は年長者が順番待ちをしていて、大きな仕事に関われなかったり、何の成果も出していないベテラン社員が自分よりはるかに高い給料をもらっていたり……。
会社によって事情は様々だろうが、従業員が「成果を出したらきちんと評価してくれる。がんばろう」と思える会社というのは、今どんどん減っているのかもしれない。
■それでもやっぱり「年功序列」より「成果主義」。その理由とは
では、従業員がモチベーションを持って働くことのできる会社とはどんな会社かと考えると、やはり「成果が報酬に適正に反映される」というのが大前提だろう。
となると、ベースは「成果主義」になるが、日本企業において必ずしも成果主義は成功してきたわけではなく、近年では「年功序列への回帰」を主張する声もちらほら聞こえてくる。
ただ、それでも企業はいずれ評価制度に成果主義を採り入れていかざるを得ない、と分析するのが、『人事評価制度だけで利益が3割上がる!』(きこ書房刊)の著者で、人事評価制度構築・運用のコンサルタントとして活動する高橋恭介氏だ。
低い生産性、長時間労働、そして正規雇用と非正規雇用の待遇格差など、国内ですでに取沙汰されている労働問題はいずれ各企業それぞれに改善すべき課題としてふりかかる。その時に、従来の年功序列型の企業では対応できないからだ。
■成果主義は結果だけで評価するものではない
では、企業は成果主義をどのように取り入れていけばいいのか。この点について、高橋氏はいくつかのポイントを挙げている。
まず注意すべきは、仕事の結果だけで評価せずに、「結果を出すためにどんな行動をしたか」といったプロセスの部分も評価対象にすべきだという点だ。
仕事には、「これを守っていれば、結果が出る」と考えられるプロセスとしての行動がある。たとえば営業マンであれば、アポイントの数などはこの一例だろう。
営業マンの例でいえば、売り上げも当然評価の指標になりえるが、これはどうしても運に左右されやすい。しかし、「結果を出すためにどんな行動をするか(=プロセス)」という点を、営業マンと彼を評価する上司が共有し、行動改善目標として提示すれば、営業マンは結果が伴わない時期もモチベーションを失わずに仕事ができるだろう。
もちろん、結果が悪くても、そのプロセスをきちんとこなせたのであれば、給料に反映されるのはいうまでもない。
また、高橋氏は、成果主義の場合、評価は「相対評価」ではなく「絶対評価」にすべきだとしている。
相対評価は、その性質からして全員を公正に評価するのが難しい。たとえさほどレベルが高いわけではなくても、その集団の中で一番上であれば最上級の評価を受けることになるからだ。当然チームごと、部署ごとにばらつきが出やすくなり、評価を受ける側の納得感が低くなってしまう。
部下それぞれに目標を設定して、その目標の達成度合いによって評価を決める絶対評価の方が、この手の不満は出にくいのだ。