新潟といえば日本酒を連想される方も多いのではないでしょうか。
たくさんのおいしいお酒が新潟県ではつくられているからか、新潟県人はお酒が大好きで、その消費量は全国でもトップクラス。そう聞くと、「飲みすぎで病気になったりしないのだろうか」と心配になってしまいますが、『医師がすすめる新潟式食事術 長生きの秘けつがここにありました。』の著者・五十嵐祐子医師によると、実は病気知らずな高齢者が多いのだとか。
■日本で1番、医者いらずの元気な高齢者が多い新潟県
「健康県と聞いてどこを思い浮かべますか?」と質問をしても、新潟と答える人は、あまりいないかもしれません。確かに新潟県は、ご長寿ランキングでは、男女ともにトップ10には入っていません。しかし、「後期高齢者医療事業状況報告」(平成30年度)によると、後期高齢者の1人当たりの医療費が、全国で1番少ないのが、新潟なのです。
「医師に頼らない元気なお年寄りが多い」といえる新潟県ですが、健康のベースは食事。誰もが願う「ピンピンコロリ」を実現するための食事法のヒントが新潟の人が毎日食べている家庭料理に隠されているのでは? 五十嵐医師はそんな気づきから、徹底的に新潟の家庭料理を検証。その結果を本書で紹介しています。
■新潟県で元気な老人が多いのは、食生活にあった!
著者が、総務省の「家計調査」などで新潟県人が何を食べているのかを調べた結果、新潟県人は、常日ごろから、非常にたくさんの健康的な野菜をバランスよく食べていることがわかりました。ご長寿の栄養素として今注目の食物繊維の塊である根菜の消費量が全国1位。老化、寝たきりを防ぐために、絶対に必要なたんぱく質、ビタミンも豊富な豚肉の消費量全国1位。そのほかトマトなどの生鮮野菜も全国屈指の消費量を誇っています。
また、老化の原因となる増えすぎた活性酸素を除去するアスタキサンチンが豊富な鮭などの魚介類もよく食べる。酒どころとあって、発酵食品も豊富。お弁当などで冷やご飯をよく食べ、整腸効果の高い、レジスタントスターチも多く摂取している、などなど、調べるうちに、新潟県民の一般的な食事こそ、理想的な、健康食だと考えるようになったそうです。
■新潟の家庭料理「のっぺ」はスーパー健康料理
五十嵐医師は、特に「のっぺ」という新潟県の伝統的な煮込み料理に注目。国立がん研究センターの研究チームが、9万人の追跡調査で、食物繊維を多く摂取すると死亡リスクが約2割低下したと発表しましたが、この料理は、サトイモ、ニンジン、大根など、その食物繊維をたっぷりと含む根菜、をふんだんに使い、さらに、鮭などでたんぱく質もしっかりとれるスーパー健康料理だとしています。
■新潟県人が愛する健康おつまみとは?
また、五十嵐医師によると、お酒を飲んでも元気な秘けつには、新潟県民が大好きなおつまみにあるそう。そのおつまみとは枝豆(茶豆)です。新潟は、枝豆を含む「さやまめ」の消費量が全国で断トツの1位。
枝豆には、お酒を飲むと体内でできる二日酔いの原因となり、なおかつ発がん性もあるアセドアルデヒドを分解するのを助ける「オルニチン」という物質が多く含まれています。もしかしたら「オルニチン」といえばしじみという印象をお持ちの方もいるかもしれませんが、枝豆には、しじみよりも多くの「オルニチン」が含まれているといわれているそうです。
「『オルニチン』は、飲んだ翌日よりも、飲んでいるときに摂取するのが効果的なので、ぜひおつまみとして食べてください。あと、枝豆を食べているからといって、大量にお酒を飲むのはよくないです」(五十嵐医師)
ちなみに「オルニチン」は、新潟県が全国で3位の消費量をほこる、キノコ類にも多く含まれているそうです。
■日本人なら、「地中海食」より「新潟食」
そのほか、新潟の食生活は、家族や自分の健康を守るための献立づくりに参考にしたいものばかり。
「『地中海食』が体にいいと言われていますが、食べなれた食材が多い『新潟食』の方が、日本人には取り入れやすいのでは」と語る五十嵐医師。
本書には、好きなときに簡単に「のっぺ」を味わえるように開発した「のっぺの素」や枝豆をつかったかんたんおつまみ料理のほか、新潟の家庭料理を元にしたレシピが多数のっています。ぜひ、この週末にでも、新潟食をご家庭で試してみてはいかがでしょうか。(新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。