歌舞伎などの伝統芸能、ひな祭りといった年中行事などの日本の文化について、外国人から質問されたら聞かれたら、しっかりと説明できるだろうか。
わかっているつもりになっているだけで、いざ説明しようとするとうまくできないかもしれない。
そんなときのために読んでおきたいのが、『知らなきゃ恥ずかしい日本文化』(白幡洋三郎著、ワニブックス刊)だ。
本書では海外に出た時日本について尋ねられたら少なくともこれくらいの答えは用意しておきたい、という日本文化のキーワード99を命名の由来、海外との比較、日本文化のいま、という3つのポイントと共に紹介している。
ここでは3つの日本独自の文化について紹介しよう。
■ひな祭り
まずは伝統行事から。
3月3日に行われる「ひな祭り」は、女児の成長や幸福を願う行事だ。女児のいる家ではひな人形を飾り、桃の花、ひなあられ、菱餅、白酒をひな人形に備える。「ひな」というのは女児が遊ぶ小さな人形のことで、平安時代からあったそうだ。
古くは、身の穢れや災いを紙で作った人形に移して、川に流し、厄払いをした風習がひな祭りの起源とも言われる。その後、紙の人形は糸製や土焼製などのひな人形に変化し、平安時代には女房たちの間で「ひな遊び」が行われるようになった。
武家にこの風習が広がったのは江戸初期で、主に大都市で現在に至る人形の飾り方が定着したという。ひな祭りが全国的に行われるようになったのはさらにそこから遅れて明治以降となる。
■交番
日本では当たり前の「交番」だが、実は日本独特の制度である。全国に交番が設けられるようになったのは1888年のこと。
立ち番、パトロール、巡回連絡などが主な仕事で、多くの日本人は道に迷ったり、落とし物をするなど、困ったときに訪れる場所だと認識しているが、その認識を持ったまま海外に行くと困ってしまうかもしれない。また、近年ではアメリカやシンガポール、ブラジルなどで交番制度を取り入れる地域も出ている。
■カラオケ
「カラオケ」は1970年前後に発明された日本を代表する娯楽。現在は世界中に広まっており、日本語をローマ字にした「KARAOKE」は各国で受け入れられている。
その発明者として名が挙がるのが、当時ナイトクラブでバンドマンをしていた井上大祐という人物だ。なじみの客に伴奏をよく頼まれたのがきっかけで、生演奏がなくてもテープをかけて歌える8トラックのプレーヤーをつくり、1971年に「8ジューク」の名で売り出したという。
ただ、それ以前にもカラオケの機能を持ったものは存在していたようで、1967年には日電工業の社長だった根岸重一が「『歌のない歌謡曲』のテープを使ってカラオケセットを考案」(*1)したという。
日本には素晴らしい文化がたくさんある。それを日本人である私たち自身が知らなかったり、無頓着でいるのは、少し寂しいことでもある。本書から日本文化の奥深さに改めて気付くはずだ。(新刊JP編集部)
*1…一般社団法人全国カラオケ事業者協会ウェブサイトより引用(2017年6月16日閲覧)
http://www.karaoke.or.jp/03nenpyo/shogen2.php
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。