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田中聖と橋爪遼、違法薬物で「脳が壊れている」可能性

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「Thinkstock」より

 元ジャニーズの田中聖が大麻所持で逮捕され、芸能界と薬物の根深さがあらためて浮き彫りになったが、その騒動が冷めぬうちに俳優・橋爪遼容疑者が覚せい剤所持の現行犯で逮捕された。橋爪遼といえば名優・橋爪功の息子で、不自由なく育ったように思われていたが、なぜ覚せい剤に手を染めたのか。過去数年を振り返ってみても、薬物で逮捕された有名人・著名人は数知れず、なぜ彼らが薬物に魅せられていくのか疑問だ。

 薬物を使い始めたときには、「やめようと思えばやめられるはず」と考えていたのだろうか。もしくは、「たった一度であれば影響はない」と思って好奇心で試しただけかもしれない。しかし薬物は、人間の脳を壊し、そのコントロールを奪うのだ。たった一度でも、薬物による強い興奮や多幸感を得てしまうと、二度、三度と繰り返したくなり、薬物依存に陥ってしまう。

 薬物依存には、「精神的依存」と「身体的依存」がある。精神的依存とは、薬物による興奮や多幸感を味わうため薬物の使用を強く欲求し、どのような手段をとっても薬物を手に入れようとする強迫的渇望をいう。これに対し「身体的依存」とは、その薬物の使用中止により禁断症状などの身体的な苦痛が起き、その苦痛を回避するために薬物を使用する悪循環に陥ることだ。

 精神的依存には、脳が薬物の刺激に慣れてしまい、効果が鈍くなる「耐性」を伴う場合が多くある。その場合、より強い興奮を求めて使用する量を増やしていくようになる。薬物依存が深刻化していく理由は、精神的依存によって、より強い快感や興奮を求めて使用する薬物の量が増えると同時に、身体的依存により薬物の作用が切れた時の身体の苦痛もひどくなり、その苦痛を回避するために薬物を使用するという負のスパイラルが進んでいくことにある。

 薬物依存が進むと、脳に変化をきたし薬物性精神障害となる。私たちの脳は本来、本能と理性のバランスを保つ機能がある。しかし、薬物依存となった脳は、バランスを保つことができなくなり、「幻覚/幻聴/幻想」といった精神障害を招く。

 しばしば薬物使用などで逮捕された芸能人の再犯・再逮捕というニュースを聞くが、これはもはや本人の意思だけで更生できるものではない。精神障害という病気と捉えて治療・更生に取り組むことが必要なのである。

 最近では、高樹沙耶のように「大麻は安全である」と主張する人もいるが、謝った理解である。大麻の使用により大麻精神病となると、抑制症状、精神運動興奮、幻覚妄想、気分や情動の異常などの症状のほか、知的水準の低下が現れることもある。そうなると、少し理解を要する会話や簡単な計算さえできなくなるケースもある。

更生しても一生治療は終わらない

 薬物依存から更生するには治療プログラムが必要だが、更生した後にも一生付いて回る不安がある。それは、フラッシュバック(自然再燃)という現象だ。フラッシュバックとは、薬物依存から立ち直り正常な生活を送っていても、ある日突然に幻覚、幻聴、幻想が起きる現象をいう。フラッシュバックが起きるきっかけは、ストレスやアルコールなどさまざまだが、いつ起きるか予測できないため、薬物依存の治療は終わりがないといっても過言ではない。

 先述した通り、薬物をやめるには本人の意思だけでは難しい。ある著名人が覚せい剤使用の容疑で逮捕された際、「ありがとうございました」と言ったという報道がある。これが事実かどうかは不明だが、薬物依存に陥った人のなかには、本当に薬をやめたいと思っている人が少なくない。筆者も、これまで多くの薬物依存の患者から相談を受けてきたが、どの患者も薬物依存からの更生を心から望んでいる。しかし、その本人の意思さえも踏みにじられるほどに「薬物によって脳が壊れた状態」になってしまっているのも事実であり、再犯率は決して低いとはいえない現状だ。

 警視庁の資料によると覚せい剤事犯の再犯者率は、2007年以降9年連続で増加しており、15年度は64.8%にも上る。薬物依存患者には、しっかりとした治療が必須だ。厚生労働省が「ご家族の薬物問題でお困りの方へ」というリーフレットを発行している。そのなかに相談機関の一覧があるので、悩んでいる方はぜひ活用してほしい。インターネットでも閲覧可能だ。

 6月1日付本連載記事『田中聖逮捕現場の渋谷、以前から「大麻臭」との指摘…大麻体験者が明かす「ハイ&バッド」状態』でも指摘したが、薬物の誘惑は、意外と私たちのごく身近に潜んでいる可能性がある。あらためて、好奇心からのたった1回の使用が、薬物依存への入り口となることを忘れないでほしい。万が一、薬物の誘惑に遭遇したら、きっぱりと「NO」と言う勇気を持ってほしい。
(文=吉澤恵理/薬剤師)

吉澤恵理/薬剤師、医療ジャーナリスト
1969年12月25日福島県生まれ。1992年東北薬科大学卒業。薬物乱用防止の啓蒙活動、心の問題などにも取り組み、コラム執筆の他、講演、セミナーなども行なっている。

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