凋落が止まらない！ アパレル業界「失われた10年」が抱える深い闇

　もちろん、それでいい結果が出るはずもなく、企業は大量の流行遅れとなった服の不良在庫を抱えることになるが、それでも新シーズンが迫れば、また大量の商品を企画・生産しないわけにはいかない。つまり、大量の不良在庫が出るとわかっていても生産せざるをえない状態になってしまっているわけだ。これが今もなお続く、アパレル業界の下降スパイラルの内側である。

　ただ、業界そのものが沈む現状を説明するには、もう少し複合的な理由付けが必要だ。本書ではサプライチェーンの川上から川下までのあらゆる工程に潜む、アパレル業界の病巣に鋭く切り込む。

　思考停止に陥った企業と業界の末路がどうなるのか。ビジネスに携わる人にとって、単なる業界本以上の示唆を与えてくれる濃厚な一冊に違いない。

（山田洋介／新刊JP編集部）

※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。