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このことについて著者は次のように述べている。
――社会と制度は一般に、秩序に向かい混沌を避けようとする。その過程で、不服従は抑えられる。でもそれは創造性、柔軟性、生産的な変化も抑えてしまいかねず、長期的には社会の健全性と持続可能性も潰しかねない。これは学術界から企業、政府、僕たちのコミュニティまで全てに当てはまる。(P186より引用)
ビジネスにとっては売上に、政府や組織にとっては社会的な面での多大な貢献になるアイデアも、押さえつけられたままでは形にはならない。
イノベーションを起こすには、個人が時に「不服従」の立ち位置を貫くこと。そして、企業や政府などの組織が、服従を強いらずにおくことが必要なのかもしれないのだ。
■未来の可能性を、どこまで面白がれるか?
一見すると、本書は「未来予測」や「技術ユートピア論」であるかのように思われるが、著者は何度も「未来のことはわからない」と述べており、それはそうした印象を明確に否定するものだと受け取れる。
本書の訳者である山形浩生氏はあとがきにおいて、本書の大きな論点に「おもしろがる能力を持つこと」があることを指摘している。
著者が繰り返し主張しているのは、激変の時代に生まれてくる多様な可能性をどうやって現実のものとするかということ。「9つの原理」はそのためのガイドラインだといってもいいだろう。
本書では、数々の最新技術やイノベーションの現場に関する話が出てくる。その中には収益性や経済効率についての話もあるが、注目すべきは、その技術やイノベーションが起こる原理や作用の方にあるだろう。 技術や社会変化をもたらす物事への「おもしろさ」や「可能性」に対して旺盛な知的好奇心を発揮できる読者には、この上なく興味深い一冊である。
(ライター/大村佑介)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。
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