「この、ハゲーー!」で一躍知名度が上がった豊田真由子議員。
ハゲと言われなくても、それに類する言葉で上司になじられた経験がある人にとって、上の立場の人から一方的に怒鳴られるということは、根底に信頼関係がなくては耐えられないものです。たとえ対象が自分でなくて、同僚がそういう目に遭っているのを目にするだけで嫌な気持ちになりますよね。
でも、どうして目上の人は下の人を怒鳴ったりなじったりしたくなってしまうのでしょうか。
日本三代霊場のひとつである青森県・恐山の住職代理で禅僧の南直哉さんは、著書『禅僧が教える 心がラクになる生き方』で、怒りについてこんなことを語っています。
■怒りは、何も解決しない
「ついカッとなってしまったり、怒鳴ってしまうのは、『自分が正しい』と信じているから。それで、怒ればなんとかなるという妙な思い込みにつながるのです」と言う南さん。そもそもの自己認識が“勘違い”なのですね。
「冷静になれば、怒鳴ったところで相手は萎縮してしまうか反発するだけだとわかるようなもの。怒る行為に効用があるとしたら、ただひとつ。問題がここにあると過激に指摘することだけです。しかし、怒りに任せて問題を指摘したところで相手は納得しませんし、問題が解決することもないでしょう」(南さん)
では、上司にパワハラされたり、家族にイライラをぶつけられてつらいときは、どうすればクールダウンできるのでしょうか?
南さんは「この人はなんの問題を指摘しているのだろう、と考えれば十分」とアドバイスします。もし短気な上司が怒りをぶつけてきても、「この人は怒れば問題が解決すると思っているのだな」と、指摘された問題だけ捉えて、余計な怒りは受け流せばよいそうです。
さらに、南さんは、怒りやイライラをぶつけている立場のほうには、こんな言葉を残しています。「そのような感情に翻弄されたくなかったら、『自分が正しいと信じていることが本当にそうなのかどうか?』と、冷静に考えてみてください」
とはいえ、受け流したり、冷静に考えるのはやっぱりハードルが高い……という人が多いと思います。そのときは怒っている相手から物理的に離れてしまうことだ、と南さんは言います。
また、具体的な方法としては、人気のない場所で床に直接座ってしまうこと、自宅で10分程度でよいので坐禅を組むこと(できれば指導者について作法を教わってから)、草むしりや庭木への水やり、床や窓の拭き掃除など単純労働をすること。つまり、感情の流れをいったん切ってしまうことがポイントだそうです。
「問題を解決しない感情」に振りまわされても、ポジティブな結果に結びつきません。ぜひ、仏教のテクニックを取り入れて、身近なストレスをやり過ごせるような習慣作りをしてみてはいかがでしょうか。
(新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。