今、世間から最も注目を集めている教育法といえば「モンテッソーリ教育」でしょう。
公式戦連勝記録を29まで伸ばした将棋界の新星・藤井聡太四段。その集中力を生み出すきっかけとなった教育法として話題になりましたが、ほかにもマイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏や、グーグル創業者のラリー・ペイジ氏とサーゲイ・ブリン氏らがこの教育法を受けたと言われています。さらに、イギリス王室でもこの教育方法が取り入れられているとか……!
子どもの潜在能力を引き出す「モンテッソーリ教育」、一体どのような教育法なのでしょうか?
『モンテッソーリ教育で子どもの本当の力を引き出す!』(藤崎達宏著、三笠書房刊)は、国際モンテッソーリ教育協会認定教師の著者が、モッテッソーリ教育のすべてを教えてくれる一冊。本書からその要点をご紹介しましょう。
■0~6歳の「敏感期」、子どもの自主的な学びを大切に
モンテッソーリ教育では、年齢の段階を6歳、12歳、18歳、24歳の4つにわけて考えます。
この中で、もっとも重要なのは0~6歳の「敏感期」。この教育法を確立したマリア・モンテッソーリは「0~6歳の間は、その後の長い人生を生きていくのに必要な80%の能力が備わる、最も大事な時期である」と述べています。
「敏感期」は子どもが何かに興味を持ち、集中して同じことを繰り返す時期のこと。もし、子どもの才能を大事にしたいのならば、親が子育ての予習をして、しっかり見守ることが大切です。
たとえば、「子どもが静かだな~?」と思ってみてみると、箱からひたすらティッシュペーパーを引っ張り出していた……なんてこともあるでしょう。実はこれ、世界中の「敏感期」の子どもに共通してみられる行動なのだそうです。そしてこの行動を見ても闇雲に取り上げないようにしてあげてください。
著者いわく、1歳~3歳の子どもは、手根骨の発達によって手の骨格ができ上がり、3本の指がうまく使えるようになります。そのできたての手をうまく練習したいという衝動が、子どもにあるのだとか。
親から見れば「いたずら」そのもの。だけど、子どもにとってはティッシュを引っ張りだしながら、自分の手の使い方を学んでいる大切な瞬間なのです。
■親や教師は子どもが自分で成長するための環境作りを
モンテッソーリ教育は、子どもが自分の力を育てる「自己教育力」を信じ、援助することで、「自立」と「自律」をうながす教育です。
援助というと、どうしても「親が何かやってあげる」ということを考えてしまいがちですが、そうではありません。子どもの成長を促す“環境”を整えることが大事だと著者は述べます。
例えば、とある保護者から「自分の子どもが歩かないし、しゃべらない」と相談を受けたときのこと、著者が家庭訪問をしてみると、きれいに片づきすぎていて、つかまり立ちするような物がなく、さらに子どもが立って触ってみたくなるような物のが、なにも無い環境。つまり、その子にとって、立ち上がる必要が全くない環境だったのです。おのずと立ち上がり、歩くのが遅くなるだけでなく、その他の成長も遅くなっていました。
親がわが子の、次の成長のステップを予習しておき、部屋の環境を整えることも大切な役割の一つといえるでしょう。
また、親や祖父母、家族といった子どもの側にいる大人たちも重要な環境です。子どもは真似をする天才。特に3歳までの時期は人の動きを鏡のように映し出すミラーニューロンという脳細胞が強く働きます。