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会社を伸ばす原動力になるのは「善人」ではなく、「悪人」という事実

新刊JP
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 仕事においては、和を乱さず、相手に合わせられる人ほど「善人」と評される。一方、自己主張が強く、周囲との軋轢を恐れない人は、「悪人」扱いされて煙たがられる。

 誰しも、他人からは「善人」だと思われたいものだ。しかし、仕事において善人であることは害悪になることがある。組織の変革が求められるような危機に直面しても、周囲から悪く思われたくないがために事なかれ主義を貫いたり、決して良い方法ではないことでも他人の顔色を伺って正しい主張ができなかったりするからだ。

 『悪人の作った会社はなぜ伸びるのか? 人事のプロによる逆説のマネジメント』(曽和利光著、星海社刊)は、仕事で結果を出し、本当の意味で会社に貢献できる「組織に求められる悪人」の在り方を説いた一冊だ。

 著者がいう「悪人」とは、むやみに周囲を傷つけたり、法を犯すような悪さをしたりする人のことではない。「ストレートな主張をし、人に嫌われたり非難されたりすることを厭わない人」「軋轢を恐れず、結果を出すことに徹する人」のことだ。

 では、どんな人が「組織に求められる悪人」なのだろうか。同書から、いくつか例を紹介してみよう。

■部下の相談はスルーせよ

 上司たるもの、部下には好かれたい、頼られたいと思うものだ。

 部下から「ちょっと話があるのですが……」と声をかけられたら、真剣に話を聞き、拙速に対処してあげる。そんな「善人な上司」を目指しているリーダーや管理職は多いかもしれない。

 しかし、「善人な上司」あろうとすることには落とし穴がある。

 部下からの相談というのはその内容がどうであれ、すべて部下の主観で語られるものだ。そこには必ず、部下の偏見や希望的観測などのバイアスがある。それを間に受けて見切り発車で対処に乗り出してしまうと、事態を悪化させかねない。

 そんなとき「悪人な上司」は、部下の相談をスルーする。部下からの相談は話半分に聞いて、まずは事実を確認することが先決だからだ。

 すぐに事態に対処してくれない上司に対して、その部下は「この人は訴えかけても全然動いてくれない」とこちらを悪人扱いしてくるかもしれない。それでも、まずは各方面からそれとなく情報収集をして、部下の言っていたことが事実なら、そこで初めて対処に乗り出すようにするといいだろう。

■職場は暗い雰囲気でもいい

 職場は明るい方が働きやすい。漠然とそう考えて、常に明るく振舞って職場に暗さを持ち込ませないようにする「善人な上司」は少なくないだろう。

 しかし、そこにも善人であるがゆえの落とし穴がある。一見、暗く思える部下や社員は、仕事に没頭したフロー状態かもしれないからだ。

 もし、仕事に没頭した状態の部下に、肩の一つも叩きながら「元気がないな。大丈夫か?」などと声をかけたら、せっかくの集中を阻害することになる。

 また、ミーティングなどで暗く俯いている部下は、真剣にアイデアを整理している最中かもしれない。そこで明るさを求めてしまうと、せっかくのアイデアが形にならなくなるかもしれない。

 もちろん、職場の暗さにも「良い暗さ」と「悪い暗さ」はある。集中しているわけでもないのに、没コミュニケーションに陥っている職場は、乾いた空気が蔓延する「悪い暗さ」だろう。

 マネジメントする側の人間は、職場の暗さの質を見抜くことが大切だ。

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