現代社会は、言わずと知れたデジタル情報社会。ビジネスシーンでも、その影響は如実に表れています。
コミュニケーションツールもデジタル化され、メール、チャット、LINEなど複数のチャンネルを使い分けている人は多いはず。書類作成はワードやエクセル、パワーポイントでの作成がほとんどでしょう。手書きで文字を書くのは、契約書や申請書などの公的文書などの最後に署名するくらいのものです。
■AIが必要な情報を探し出す時代
となると、企業など組織には膨大な量のデジタルデータが蓄積されることになります。そんなデータの海から、必要な情報を探し出すのは極めて困難。もしも、探しているデータが、訴訟の際に必要な証拠となるメールや文書などだとするとどうでしょう。そのデータの有無が、あなたが所属する企業や、クライアントの命運を大きく左右するとしたら?
企業が抱えるデジタルデータの規模は、ギガバイトからテラバイト、ペタバイトのレベルに達しようとしています。調査や裁判に必要な情報を、膨大なデジタルデータの山から探し出すのは、どれだけ人手と時間を費やしても、もはや不可能です。
「リーガルテック」は情報量が加速度的に増加する今、不可欠な技術になりつつあります。リーガルテックとは、訴訟先進国・アメリカで発展を遂げた技術です。法律(リーガル)と技術(テクノロジー)からつくられた造語で、言葉から想定できるように、リーガルテックは、法律業務に携わる人たちの仕事をサポートするために開発された情報通信技術(IT)のことをいいます。
『リーガルテック』(佐々木隆仁著、アスコム刊)によると、すでにアメリカでは、大量のデジタルデータを解析し、必要な証拠を抽出・整理する作業はリーガルテックの専門家に依頼するのが主流です。
近年、人工知能(AI)の学習機能を活用して、短時間で特定のデータを抽出する機能の精度が格段に高まってきています。100万人といわれる弁護士たちが差別化を図るための武器として、リーガルテックのツールを選別するようになってきているのです。
■アメリカで起きたことは日本でも起きる
片や、日本の状況はどうでしょうか? 法律業務というと、多くの人が分厚い法令集や積み上がった書類の山に埋もれる弁護士の姿をイメージするでしょう。しかし、そのイメージに該当するのは、先進国では日本の司法だけ。
このような状況では、デジタル社会の裁判に対応できません。アメリカで起きていることは、数年後、日本でも起きます。とくに、司法の現場では、アメリカが先行していることもあって、今のアメリカが、数年後の日本の姿になるといっても過言ではありませんし、またこの技術が司法の世界の外にも普及していく可能性も考えておくべきです。
情報が人間の処理可能な量を凌駕している今、必ずやってくる次の波に備えて、新技術の知識についてかじってみてはいかがでしょうか。
(新刊JP編集)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。