外出自粛が推奨される社会情勢を受けて、自宅学習に注目が集まっています。
中でも、日本史は学生だけでなく大人の学び直しの需要も高い分野です。数多くの関連書籍が出版されており、ベストセラーも多く、どれを選ぶか迷う方も多いでしょう。
そんな中注目を集めているのが、毎年生徒を開成や灘、桜蔭といった有名校に合格させるカリスマ日本史講師・馬屋原吉博さんの著書『カリスマ先生が教える おもしろくてとんでもなくわかりやすい 日本史』(アスコム刊)です。
馬屋原さんの凄いところは、歴史の予備知識をほとんど持たない子どもたちに対して、日本史の知識を苦もなく覚えさせている点。一体、どうすればそんなことができるのか。馬屋原さんの普段の授業が、ほぼそのまま再現されている本書を読むと、その理由がわかります。
■「背景」と「流れ」が見えれば、日本史は俄然面白くなる
馬屋原さんの教え方は「馬屋原メソッド」と呼ばれる独自のもの。「マンガよりも面白い」とも言われるその教え方には、いくつかの特徴があります。
その一つが歴史の「背景」まで噛み砕いて教えてくれることです。例えば、江戸時代が終わって、明治維新が始まることになった背景について、以下、抜粋してご紹介します。
私の中では、江戸時代の日本には、どことなく「引きこもり」のイメージがあります。
鎖国をして、暖かい布団にくるまって、戦乱もなくなり、文化も花開きました。
町人だって浮世絵が買えるようになり、旅行に行ける農民も増えました。
まぁ、たまに飢饉が起きて食べるものがなくなってしまうんですが、とはいえ、天下泰平の260年だったわけです。
そこに、バァーンとドアを突き破って黒船が入ってきて、寒風吹きすさぶ国際情勢の中にずりずりと引きずり出された日本。
しかし、そこは腐っても武士。泣いて終わるわけにはいきません。
ぐっと唇をかみしめて、今に見ていろと、お前らに、黒船に負けない国になってやるからなと開き直ってみせたのが明治という時代です。
いかがでしょうか。馬屋原さんの語り口であれば当時の人々の想いと共に時代背景までもが頭に入ってきて、明治に起こる様々出来事を「暗記」ではなく「理解」して覚えることができます。もちろん、この後に、重要な年号や固有名詞も無理なく記憶できます。
もう一つが「歴史上の出来事をつないで『流れ』」をつくることです。一例を挙げると、同じく明治時代に起きた「西南戦争」と「第一回帝国議会の開会」。この2つの出来事の関連性、すぐに答えられる方はいますか?
通常の歴史教育は、いわゆる「暗記」が主流ですので、2つの事象は、それぞれ個別に覚えます。しかし、馬屋原メソッドでは、こんな流れとして捉えます。
明治維新後に特権を失った士族が各地で武力蜂起しました。その最大のものが「西南戦争」。しかし、政府軍に鎮圧され、反政府勢力は武力を諦める代わりに「言論」へと戦場を移します。そうして各地で自由民権運動が盛んになり、その動きに抗しきれなくなった明治政府が、国会の開設を約束。1890年に第一回の帝国議会が開かれることになりました。
歴史の流れを見せることで、「なぜ」が腑に落ちるのが馬屋原メソッドの大きな特徴なのです。
本書では、古代から現代まで通しで学べるようになっています。この機会に、日本史への理解を深めてみてはいかがでしょうか。(新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。