仕事が嫌になってしまう要因の一つが人間関係である。
暴言を吐く人、卑劣な人、人をこきおろす人、他人をいじめて楽しむ人。職場にはいろんな人がいるものだが、こうした他者に迷惑をかける人たちがいる場合、どのように対処すべきなのだろうか。
こういった人たちのことを『スタンフォードの教授が教える 職場のアホと戦わない技術』(ロバート・I・サットン著、SBクリエイティブ刊)では「アホ」と呼んでいる。
著書のサットン氏は、スタンフォード大学で組織行動論や組織管理を研究し、同時にこれらをベースとした「アホ」の研究もしているという。本書では、氏の研究をもとに、アホへの対処法を紹介している。
では、アホと戦うとき、反撃するとき、どうすればいいのか。
これには、それなりの準備が必要となる。武器になるものは、「力」「証拠」「仲間」の3つだ。
まず、反撃したい人に比べて、自分はどれくらい力があるのか。もし、自分の方が弱い立場ならば選択肢は少なくなるし、反撃したときのリスクは高い。
次に、確実な証拠がたくさんあるほど、「言った、言わない」の争いを避けることができ、有利にことを進められるだろう。上層部や人事部に相手のひどい言動を訴えるにしても、しっかりとした証拠があれば主張を認められやすくなるのだ。
そこで、メールやソーシャルメディアでのやりとりは保管する。何があったかをまめにメモしたり、写真やビデオで証拠を残せればなお良い。
また、仲間がいれば、より強くなれるし、苦しいときでも励まし合いながら戦える。加勢してくれる仲間がいれば、勝つ確率もぐんと上がる。
これらの3つの武器を準備したら、具体的な作戦に移ることになる。
例えば、本書で紹介されている「ヨイショ作戦」。これは、嫌な人でもおだてて笑顔を向けておくというもの。こうすることで、ひとまず八つ当たりされずにすむ。そうして、相手を大人しくさせながら、裏で反撃準備を整えるのだ。
この方法は、無神経な自己愛タイプの気をそらせておくのにいいと著者。
ほかには、自信がなくて「みんなバカにしているんじゃないか」と猜疑心が強くなっているタイプにも優しくすると効果があるという。このタイプの人間は自分の能力に不安があり、今の地位を脅かされるんじゃないかといつも心配している。この場合は、ナルシストタイプと違い、おだてるというよりは、敵ではないことを示すと良いという。
職場に嫌な上司や同僚がいて悩んでいる人は少なくないだろう。そういう人にとって本書に書かれている対処法は参考になるはずだ。
(新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。