練習ではできるのに、本番では失敗する。重要なプレゼンで言葉がうまく出てこない。スポーツの試合などで、大事な場面になると体が固まってしまう。
こんな経験がある人は少なくないはずだ。大勢の人目があったり、環境がいつもと違うことで、普段できることができなくなってしまう。その原因は、いうまでもなく「緊張」だ。
しかしひとことで「緊張」といっても、いくつかのタイプがある。あなたは自分の緊張がどこから来ているか考えたことがあるだろうか?
■緊張の原因は人によって違う
自分の緊張のタイプがわかっていないと、どんなに対策をしても効果は薄い、とするのは格闘技世界チャンピオンやプロ野球選手を指導した経験もあるメンタルトレーナーの石津貴代さん。石津さんは『緊張をコントロールして最高の結果を出す技術』(すばる舎刊)で、緊張を5つのタイプに分類している。
1.プライド型…人からの評価を気にする完璧主義者
2.コンプレックス型…自分に自信がない劣等感の持ち主
3.トラウマ型…過去に人前で恥ずかしい経験をした人
4.準備不足型…事前準備が足りない/急に大役を任された人
5.未経験型…はじめての経験や場所、相手に対して緊張する人
たとえば、プレゼンを任された時に、「みんなを感動させる、完璧なプレゼンをしなくては!」と考えて緊張するのはプライド型。「自分はとてもこんな役割を任される器ではない」と思うのはコンプレックス型。過去にプレゼンで大恥をかかされたため思い出したくもないのがトラウマ型。忙しさにかまけて準備ができなかったのが準備不足型。初めてのプレゼンということで怖れを抱くのが未経験型となる。
緊張に対処するなら、まず自分の緊張のタイプを知るべき。石津さんは、かならずしも一人に一つのタイプというわけではなく、同じ人が複数のタイプを持つこともあるとしている。
■自意識過剰?「周囲の評価が気になる人」は緊張をこう乗り越えろ
ただし、もっとも多いのは「プライド型」のようだ。これは自己評価が低いのに他人からの評価が欲しい人にありがち。周りからの評価を気にしすぎてしまう、やや自意識過剰ともいえるこのタイプは、どう緊張に対処していけばいいのだろうか。
石津さんによると、「プライド型」の人がまずすべきことは、「自分が何をすべきなのかを意識すること」。
プレゼンの例でいえば、「自分が伝えるべきこと」ではなく「人から評価されている自分」に気持ちが向かっているうちはうまくいかないもの。「今この時間に自分は何をすべきなのか」を考え、そこにだけ意識を向けることが「プライド型」の人が緊張に対処するための基本だ。
また、完璧を求めてあれもこれもと欲張ってしまうのも、このタイプの特徴。プレゼンなら「今日はとりあえず大きな声で話すことだけはがんばろう」など、一つだけテーマを決めて取り組むことも、緊張の改善に効果的だという。
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「緊張を克服すれば未来がひらける」と語る石津さんは、緊張をトレーニングで克服できるものだとして、上の5つのタイプそれぞれの緊張への対処法を解説している。
せっかく訓練を積んで磨き上げた能力を緊張に負けて発揮できずに終わるのはもったいない。普段通りのメンタリティで実力を発揮できる人になるために、自分の「緊張」と向き合ってみてはいかがだろう。
(新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。