「ホメて育てる」が主流の今、上司や先輩から厳しく叱咤される場面は減りつつある。
「やればできる」「焦らないで」「大丈夫」と、耳触りがよく自尊心を折らない言葉で本人のやる気を引き出すのが今の人材育成の主流。しかし、若手のうちはどうしたってミスはするし、仕事の成果も思うように出ないものだ。
仕事ができないことを一番わかっているのは自分自身、なのに上司はパワハラと訴えられるのを恐れているのか何なのか、厳しい言葉をかけてこない。「こんな育てられ方でオレ(私)は大丈夫か?」と不安になる人もいるかもしれない。
■「バーカ。それはあなたが生産性のある仕事ができた時だけ言えるのよ」
『グサっと痛いけど超やる気が出るドSな言葉』(すばる舎刊)はシリーズ累計50万部を突破、ドラマ化もされた『ドS刑事』シリーズの黒井マヤが、仕事に悩んでいる若手ビジネスパーソンに厳しい言葉を投げかける一冊。
たとえば、入社後さっそく「職場以外のコミュニケーションはムダ」と部署の飲み会を断る新人には「バーカ。それはあなたが生産性のある仕事ができた時だけ言えるのよ」と容赦ない。
「飲みニケーション」は賛否がわかれるところだが、昨今の上司がパワハラと断じられることを恐れて正面から新人に意見しにくいことは考えに入れるべきだろう。「そんなの上司の教え方の問題だろう」は正論だが、あまり意味がない。上司の技量は人それぞれであり、部下は上司を選べないからだ。
ならば、それまで教えてもらえていたことが、上司の腰が引けているせいで教えてもらえないといったケースも出てくるだろう。酒が入って口が滑らかになる「飲み会」ならば、職場で指摘できなかったことも指摘してくれるかもしれない。飲み会がムダになるかどうかは、本人次第だ。
“ここは会社。存在価値のない人はいらないの。”
“「こんな仕事をするために入社したんじゃないんです」。ぷぷっ。そのひと言でバカを晒したわね。”
などなど、厳しい言葉のオンパレードである本書だが、ただ厳しいだけではない。
“言葉の通じない国に行って、一度大きな失敗をすることね。どれほど自分が無能かわかるから。”
“何頷いてるの。内心反対なんでしょ。ハブにされそうで、できないなんて、バッカじゃないの。”
といった、ひそかに思っていたことや認めるのが怖いことを鋭く言い当てるような一言も多い。
一読すると、自分のことだとドキリとするはずだが、逃げるべきではないだろう。これらの言葉はあなたの上司が本当はあなたに言いたい言葉かもしれないのだから。
(新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。