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鳥貴族、高収益なのに「客軽視の」値上げで歯止めなき客離れ…赤字転落目前

文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント
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鳥貴族、高収益なのに「客軽視の」値上げで歯止めなき客離れ…赤字転落目前の画像1鳥貴族の店舗(「Wikipedia」より)

 鳥貴族が赤字の一歩手前だ。12月7日発表の2018年8~10月期の単独決算は、最終的な儲けを示す純利益が、前年同期比75.9%減の5800万円だった。売上高純利益率は1%に満たない。かつてない低利益で、いつ赤字に転落してもおかしくない状況だ。経営危機の足音が鳥貴族に迫っている。

 売上高は、前年同期比10.0%増の89億円だった。新規出店を進めたことで、店舗数が同期間に9店増えたことが影響した。しかし、本業の儲けを示す営業利益は同65.0%減の1億3600万円と大幅に減ってしまった。売上高営業利益率はわずか1.5%で、前年同期の4.8%から大きく後退している。

 利益が減ったのは、客離れにより既存店売上高が減少したことが大きく影響したためと考えられる。昨年10月に全品一律税抜き280円から298円に値上げ(約6%の値上げ)した影響で客足が遠のき、既存店売上高が前年同期から8.3%も減った。これにより固定費の負担が重くなり、利益を押し下げたと考えられる。

 高騰する原材料費や人件費を吸収することを目的に鳥貴族は値上げを断行したのだが、現状、目論見通りに進んでいない。原材料費や人件費がすべて変動費(売上高に応じて増減する費用)であれば、たとえ売上高が減ったとしても、それと同じ割合で変動費は減るので大きな問題とはならなかった。しかし、それらには固定費(売上高の増減とは関係なく発生する一定の費用)も存在したため、問題が生じた。特に人件費は固定費の要素が強く、たとえ売上高が減っても固定費はそのまま負担しなければならないため、今回その固定費の負担が重くなり、利益を大きく押し下げることになってしまった。

 もう少し具体的に見てみる。

 今回、売上高に占める売上原価の割合を示す売上原価率は、前年同期から1.8ポイントも改善(低下)し29.6%になった。一般的に売上原価は変動費の割合が多いとされるため、全品同率で値上げすると、売上高に占める変動費の割合が低下することで売上原価率は高い確率で改善する。このような原理が働くため、売上原価率が今回改善したのは、値上げが大きく影響したと考えていいだろう。原材料費の高騰が売上原価を押し上げた側面もありそうだが、値上げ効果がそれを上回ったと考えられそうだ。

 一方、売上高に占める販管費及び一般管理費(販管費)の割合を示す売上高販管費比率は前年同期から5.1ポイントも悪化(上昇)し68.9%になった。販管費は売上原価と異なり、人件費や家賃などの固定費の割合が多いとされるため、売上高の伸びが鈍い、あるいは売上高が低下してしまうと、販管費比率は高い確率で悪化してしまう。今回、客離れで既存店売上高が低下し、さらに人件費が上昇した可能性も考えられ、こららが影響して売上高の伸びよりも販管費の伸びが大きくなって販管費比率が悪化してしまったと考えられる。値上げにより販管費比率の改善効果が生まれた側面もありそうだが、既存店を中心とした収益悪化がそれを相殺してありあまるほどの販管費比率の悪化要因になってしまったと考えられそうだ。

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