近い関係ほどこじれやすい
難しい点としては、年下上司とはいっても年齢が近ければいいというものでもないという点だ。人事部の担当者の中には、年下上司・年上部下が発生する場合にも、なるべく年齢差が開かないように注意して配置しているという人も多いのだが、その配慮は実は的外れであったりもする。年齢が近いほうがかえって先輩・後輩の意識が強かったりするからだ。特に体育会系出身者などは、1歳下、2歳下というところに、とてつもなく大きな意味を見いだしていたりもする。近親憎悪の一種かもしれないが、近い関係ほどこじれるということも多くあるので注意が必要だ。
逆のケースとしては、外資系企業などで年下上司であっても、それが外国人である場合、なんら問題は起こらないということも多くある。これは違う人種、違う国籍ということで、関係性が遠いからであろう。そういう点からすると、ぐっと年の離れた、しかもまったく畑違いの分野の者どうしの関係のほうが、かえってうまくいくということもあるのではないだろうか。このあたりのことは、引き続き情報を集めて検証していきたいと思っている。
「船頭多くして船山に上る」といった状況にも
中高年メンバーが多く、若年層メンバーが少ない組織ということでは、年齢からくる心理的抵抗感という点以外にも、実は難しい点が存在する。表立って指摘されることは少ないのだが、「仕事の構造上の問題」というのが別問題としてある。どういうことかというと、たいていの場合、組織の中には、初歩的かつ基礎的な仕事から、高度かつ複雑な仕事まで存在する。もう少し細かく分けるならば、「単純作業、応用作業、専門作業、企画・調整作業、判断・指示作業」という言い方もできるであろう。
一般的には、単純作業に近い仕事ほどボリュームが大きく、多くの頭数を要する。逆に、「判断・指示作業」などはあまり多くの人たちでやろうと思えば、「船頭多くして船山に上る」という状態に陥りかねない。ベテランメンバーが多いからといって、皆が「判断・指示作業」や「企画・調整作業」ばかりやるというわけにもいかないのだ。かといって、ベテランメンバーに新入社員がやるような仕事ばかりさせるわけにもいかない。こうした仕事の構造からすれば、年齢構成もピラミッド型のほうが進めやすいといえる。果たして、逆ピラミッド型の年齢構成となった組織において、どのような仕事の進め方が可能なのか。