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「問題」ではなく、「チャンス」として
こうした状況をあえてチャンスととらえるならば、契約社員や派遣社員、あるいは再雇用後のシニア社員などの活躍の場ができやすい状況ともいえる。ベテランメンバーにはできるだけ、これまで培ってきた経験値を発揮して、専門作業や企画・調整作業を主として担ってもらうことで、組織力は向上し得る。中高年層が多く、若年層が少ない組織は、ダイバーシティが進みやすい要因ともなりえるのだ。また、IT化以降、単純作業は減少傾向にある。今後、AIの活用によってその方向はますます進むことが期待される。このような役割分担を行っても賄いきれない単純作業や一部応用作業が発生することは常にある。それらは年齢を問わず皆で協力しつつ実施することで、チームビルディングの糧にするというくらいの割り切りが必要だ。
経験値が高く、成熟度が高いメンバーが多くいるという状況は、本来、戦力的には恵まれた状況のはずだ。それをチャンスととらえられるか、問題ととらえるかの違いである。問題視するばかりで、せっかくの充実した戦力を存分に活用できないのは、あまりにもったいない。うまくいっている組織を見ると、年上部下のほうも、年下上司のほうも、「おとな度」が高いのだ。年下上司への“くん”付けのように、いずれかが「こども度」を発揮してしまえば、悪循環を生じてしまう。互いに相手へのリスペクトを持って、「おとな度」を発揮し合えば、好循環が生まれ、組織力は向上していくに違いないのだ。そう考えると、「年下上司・年上部下」というような状況は、「相互尊重」というチームにおけるもっとも基本的な価値観を、本当の意味で備えているかどうかを検証する試金石ともいえるのではないだろうか。
(文=相原孝夫/HRアドバンテージ社長、人事・組織コンサルタント)
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