家事はストレスの源。特に毎日やらなければいけない料理は献立作りから買い物、そして調理と時間がかかる上に手間もかかります。
さらに苦労して作ったごはんを家族はあっという間に食べてしまい、「美味しかったよ」の言葉もない。そうなると、日々イライラしながら料理を作ることになってしまいます。そして、そのイライラは家族全体に伝わってしまい、家庭内が穏やかではなくなります。
料理を作る側も、食べる側も、心穏やかにごはんを食べたい気持ちは一緒であるはず。そうなるために、ごはんを「がんばること」をやめてみるのも一つの手です。
穏やかな食卓の秘訣は「がんばろうとしないこと」
『私を整えるごはん』(サニー早苗著、WAVE出版刊)はただのレシピ集ではありません。料理に対する捉え方を新たにし、自分らしく生きやすくするための、いわば料理を通した自己整理本。
エッセイでは、ごはんに対する向き合い方がつづられています。
たとえば、「主婦だから毎食しっかり食べるべき」「仕事と家事で疲れているけれど、子どものために手作りで作ってあげないと」と、がんばっている人ほど「こうしないといけない」と思い込みがちです。
もちろん、がんばろうとする姿勢は素晴らしいこと。でも、その結果、無理が生じて心が疲れてしまったり、笑顔が消えていったり、体の調子を崩したりしてしまっては、元も子もありません。
著者のサニー早苗さんは「料理がしんどい。苦しい」と感じていたら、まずは「こうせねば」「こうすべき」を手放すことで楽になると言います。
みんなが穏やかな心で食卓を囲むには、もっと気軽に、楽に捉えてみることが大切。料理する気がないのは、休息が足りないだけかもしれません。そんなときは、ゆっくり休むことが先決であり、「元気を取り戻してから、やれる範囲で料理をすればいいのです」(p.28より)とサニーさんはアドバイスします。
料理を通して自分を大切にできるようになっていく
ごはんとの向き合い方を変えていくことで、料理に対する価値観も変化がでてきます。料理は「自分を犠牲にするもの」ではなく、「自分を大切にするもの」という変化です。
サニーさんは次のように述べます。
どう準備して、どう料理して、どう食べるか。すべてはあなたの心地よさを大切に選んでいきます。頭で考えすぎず、感覚を大切にしてみてください。(p.37より)
「心地よさ」がキーワードです。食材を選ぶときも、メモを見てただ選ぶのではなく、「予定にはなかったけど、今日はこの食材を使ってみよう」と自分の心地よい感覚に従ってみましょう。その感覚は意外に当たっているものだったりします。
また、調理方法も「心地よさ」に従いましょう。お米を研ぐ回数も感覚に任せます。決まりに縛られることなく、自分の心地よさを大切にすることで、迷いがなくなり、とても楽に美味しいごはんが炊けるのだとサニーさんは言います。
「心地よさ」を大切にすることは、等身大の自分自身を受け入れるということ。これが料理を通して、自分を大切にできるようになっていく秘密なのです。
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もちろん本書ではレシピも紹介されていますが、それらは5分~10分でとても簡単に作れるものばかり。また、さりげなく薬膳などの工夫が盛り込まれており、心身とも健やかになることができます。
最後に一つご紹介しましょう。
なんだかイライラする。そんなときは「玉ねぎ」と「グリンピース」を使った「玉ねぎピースごはん」がおすすめ。
●材料(3~4人分)
玉ねぎ…中1個
グリンピース…大さじ2
米…2合
ごま油…大さじ1/2
(または油揚げ…1枚)
醤油…大さじ1
塩…小さじ1
水…適量●作り方
1.玉ねぎはくし形または十字に切り込みをする。軸の部分まで切り落とさずに花形になるように。(仕上がりが可愛くなります)
2.すべての材料を入れたあと、お米を炊く水分量にして炊くだけ。
玉ねぎとグリーンピースはリラックスさせる効果があり、その2つを使ってパッとできるのがこの「玉ねぎピースごはん」です。
こうした簡単でラクに作れて、美味しいレシピを試しながら、料理を通して自分を変えてみてはいかがでしょう。何事も完璧にしなくてはいけないことなんてありません。せめてごはんの時に自分にやさしくできれば、だんだんと心も体も整っていくはずです。(新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。