ドラマ『半沢直樹』の大ヒットで、一躍時の人となった俳優・堺雅人さんや、岸谷五朗さん、レスリングの吉田沙保里選手など、芸能人・著名人に多くのファンを持つ「うどん」があるのをご存じですか?
その正体は「伊勢うどん」。
長らく三重県伊勢市のご当地うどんとして、知る人ぞ知る存在でしたが、第1回「うどん日本一決定選手権U-1グランプリ2013」で全国5位にランクインするなど、ここにきてその魅力が徐々に広まりつつあるのです。
『食べるパワースポット 伊勢うどん 全国制覇への道』(扶桑社/刊)は、コラムニストで「伊勢うどん友の会」会長の石原壮一郎さんが、伊勢うどんへの溢れんばかりの愛情をつづった1冊。
伊勢うどんの特徴は、なんといっても太くてやわらかい麺、そして真っ黒なタレです。
讃岐うどん的な、コシの強いうどんが主流の今、“やわらかい”というだけで、なんとも個性的ですが、「うどんはコシが命」という刷り込みのせいか「ダメなうどん」「茹ですぎ」というレッテルを貼られ、なかなか認知されてきませんでした。
こんな状況を打開すべく立ちあがったのが、三重県出身で「硬いコシのあるうどんだけがうどんじゃない!」と義憤に駆られた石原さんでした。
本書で石原さんは、「うどんはコシ」という世間の価値観へのアンチテーゼのように「ふわふわもちもち」を貫く伊勢うどんの魅力を伝えるべく、伊勢うどんのお店や、製麺所、伊勢市長の鈴木健一氏にいたるまで、伊勢うどんに関わるあらゆる人に取材を敢行。
なかでも圧巻だったのは、2013年1月、東京ミッドタウンで開催された「三重フェア」にゲストとして訪れた、ロンドン五輪・女子レスリングの金メダリスト、吉田沙保里さん(三重県津市出身)との、こんなひとコマです。
石原「コラムニスト石原壮一郎と申します。伊勢うどん友の会というのをやっています」
吉田「へえ~」
石原「伊勢うどんのやわらかくてしなやかなコシは、吉田さんのレスリングの強さに何か影響を与えたでしょうか?」
吉田「はい、もうその通りに動けるようになったので、はい」
石原「あのやわらかいコシ(の麺)を食べてレスリングが強くなったと言っても過言ではないでしょうか」
吉田「は、はい(苦笑)」
この強引さで、「吉田選手の強さを支えていたのは伊勢うどんだった!」と結論づけてしまった、石原さん。この他にも「ああ、伊勢うどんのタレの海に飛び込んで、太くてやわらかい麺ともっと密接にからまり合いたい!」「大人にとって大切なことは、みんな伊勢うどんが教えてくれるんです」など、暑苦しいまでに伊勢うどんを讃美する名言(迷言?)が、次々と飛び出します。
もちろん、本書が石原さんの愛情表現だけで終わるはずもなく、伊勢うどんの地元、伊勢の名店や、都内で伊勢うどんを食べられるスポットなど実用的な情報も満載。
先日、伊勢神宮の式年遷宮の中心となる「遷御の儀」が執り行われ、ますます注目を集める(?)伊勢うどんですが、食べてみる前にこの本を読んでおけば、一層その魅力が身近に感じられるはずです。
(新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。
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