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元ソニー社員が語る「共働きパパが知るべき育児法」

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『パパだからデキる子育て術』の著者・鬼木一直さん
『パパだからデキる子育て術』の著者・鬼木一直さん

 育児・家事を夫婦で分担するのが当たり前になってきている現代。自分も関わりたいと思っていても「どう関わっていいかわからない」「奥さんを邪魔してしまいそうで怖い」と腰が引けてしまう男性も多いはずだ。

 東京富士大学教授の鬼木一直さんの著書『パパだからデキる子育て術』(幻冬舎刊)は、そんな男性向けの一冊。奥さんと同じことをするだけではない「パパだからこそできる子育て」とはどのようなものか。また、どのような関わり方をすれば奥さんが楽になり、子どもの成長に効果的なのか。鬼木教授にお話を伺った。その後編をお届けする。

※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。鬼木一直さんインタビュー前編を読む(※外部サイト「新刊JP」)

「子どもは純粋だから嘘をつかない」という考えは捨てるべき

――共働きが多くなってきているなかで、ママとパパの役割は変わってきているのでしょうか?

鬼木:もちろん変わってきているところはあると思いますが、ママが専業主婦でも共働きでも、パパの育児は不可欠だということです。共働きだからパパの育児が必要なのではなく、パパの育児力によって、ママに仕事をするかどうかの選択肢を付加してあげることが大切だと考えています。

――今作も『デキる社会人になる子育て術』と同様、文庫として刊行されています。この意図はどんなところにありますか?

鬼木:幻冬舎の方からいただいたお話なのですが、文庫版の方が安価ですし、コンパクトなので、より多くの方に手に取っていただけると考えました。パパ目線の子育て本が少ないからこそ、コロナ禍で家での仕事が多くなったパパにはとても参考になる本だと思います。

特別な子育てを求めているわけではありませんが、ソニーで働いた社会人経験、これまで110ヵ国もの国を訪れた国際経験も盛り込んだ非常に中身の濃い本に仕上がったと自負しております。

――本書は実例が多く紹介されています。これは鬼木教授が実際に経験したことも含まれているのでしょうか。

鬼木:ほとんどが私の実体験に基づいていると言ってもいいと思います。自分の子育てにおける経験だけでなく、保護者会やPTA活動、ママ友、パパ友とのやりとり、そして、大学での学生との会話、ソニー時代の後輩との談義、学会での意見交換など日常のちょっとした対話から多くのヒントを得ています。悩み相談も数多く受けますが、そのような話も大いに参考にさせていただきました。

――子どもを信じたい気持ちはあるものの、なかなか現実は思った通りにいかないものです。子どもを信じるための秘訣を教えていただければと思います。

鬼木:まず、「子どもは純粋だから嘘はつかない」と思っているならば、その考えを捨てることです。よく思われたい、怒られたくないという気持ちが嘘をつかせることはよくある話ですし、こうあってほしいという気持ちが妄想となり嘘になってしまうこともあります。信じるのではなく、共感することが大切で「何を話したか」より「なぜそう考えたのか」「どこに興味があるのか」を聞いてあげることが重要です。

また、子どもの行動にイライラするのであれば、それは親が子どもを思った通りにしようとしているからなのかもしれません。ロボットではないので、子どもは親の思った通りになるはずがありません。むしろ、思った通りにいかないから子育ては面白いと感じてもらえれば対応は大きく変わると思います。

――夫婦の間で子育てへの意見が違っている場合はどうすればいいのでしょうか?   鬼木:夫婦でも性格や考え方が同じではないので、子育てに対する意見が違うのは当たり前です。また、どのように育てるのが正解かどうかも簡単に結論が出るものではありません。大切なのは、夫婦間でなぜそうしたいのか、その思いの強さを知ることです。話してみると、大事なポイントは別のところにあり、あっさりと落としどころが見つかることもありますし、思い入れの強さがわかり、納得したうえで意見を取り入れられることもあります。お互いの立場や背景を少しでも理解する姿勢が重要だと思います。

――鬼木教授が子育てで大切にしている価値観や考え方がありましたら教えていただければと思います。

鬼木:本書でも何度となく述べていますが、子どもは皆天才です。発想力は教えるものではなくもともと備わっているものだと思っています。それを大人の都合で閉じ込めてしまうのはとてももったいない話です。

象を赤で書いても、空を黄色で塗ってもそれは個性です。アリをじっと観察するのもとても大切な時間です。できるだけ見守ってあげる姿勢が重要だと考えています。

――ご夫婦で共有されている価値観はありますか?

鬼木:「なぜか」を考えさせることですね。たとえばバドミントンで上手にスマッシュが打てなかったとしたら、まず「どうしてだと思う?」と聞いて子どもに考えさせる。これはコーチングという手法ですが、すぐに教えるのではなく、そこで答えが出なかったとしても、考えさせてから「もう一回やってみて」と言ってやらせると、「肘が上がっていないな」と自分で気づくことがあります。そういう子ども自身の気づきを増やしてあげたいというところは共通していると思います。

――育児にとって大切なことはなんでしょうか?

鬼木:愛情を子どもに伝えることだと思います。言葉では伝わりにくいので、たくさんハグをしてあげるといいと思います。

日本人はあまりハグの習慣がなく、特に男性は苦手な人が多いと思います。朝起きたらハグ、頑張ったらハグという形でスキンシップを取ってあげると子どもは安心しますし、信頼関係が高まっていきます。信頼関係が構築されていないのに怒るから嫌がられるわけで、頑張ったときにはしっかり褒めたうえで、悪いことをした時に怒るというのが大切だと思います。(新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。

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