12月23日公開の映画「真・事故物件パート2 全滅」で、前作唯一の生存者だった安藤役を再び演じる俳優・小野健斗。今作は事故物件を舞台にした恋愛リアリティショーが一転して、想像を絶する殺戮バトルロワイアルと化すストーリーが描かれる。「パート1とは異なる苦しさ、地獄でした」と明かす舞台裏、そして「この安藤役が自信に繋がった」という俳優としての手応えを語ってもらった。
――安藤は前作でただ一人の生存者であり、事件を裏で操っていた張本人でもありました。今作ではどんな一面を見せてくれますか。
パート2では、より安藤の人間味というか、本性が出ているはずです。間違いなく、みんなに恨まれている人間ではあるのですが、なぜか憎めないヤツなんですよね。もしかしたらいいヤツなんじゃないか? みたいな雰囲気も出ているかもしれません。でも、やっぱりみんなの思い通りにいかないのが安藤(笑)。皆さんの予想を裏切って、裏切って、裏切り続けるラストになっているはずです。「全滅」というタイトルですが、果たして本当に安藤は死んでいるのか? 期待してください!
――前作では撮影中に心霊写真が写ってしまったそうですが、今作では何か異変はありましたか。
前作はガチの事故物件で撮影したので、建物自体に重苦しい雰囲気が漂っていたんです。今作はスタッフの方が実際に住んでいる家で撮影したのですが、突然ブレーカーが落ちてしまうことが何度もあって…。理由は古い家だし、真夏の撮影だったので、いろんな部屋でクーラーや照明を使っていたからなんですけど(笑)。でも、暑さとの過酷な戦いでしたね。撮影中はガンガン照明をたくけど、クーラーは音が入ってしまうので切らなければならない。しかも、スタッフも含めると大人数なので、蒸し風呂状態でした。まるでサウナの中でお芝居をしているような。パート1とは異なる苦しさ、地獄でした(笑)。
――前作の時に金縛りに遭いやすい体質だと話されていましたが、今回は大丈夫でしたか。
実は前作の時に、霊媒師の方が僕の住んでいる家を見てくれたんですね。磁場や運気がかなり悪い家だったようで、「ここは相当ヤバいですね」と言われて引っ越したんですよ。そうしたら、ピタリと金縛りがなくなりました! 前作に出演していなかったら、全く気付かなかったことですからね。おかげでパート2は万全の状態で撮影に臨めました(笑)。
――今作のヒロインは窪田彩乃さんです。前作ヒロインの海老野心さんも再び登場しますが、2人とのお芝居はどうでしたか。
彩乃ちゃんはすごく自然体なのですが、たぶん作り込んできたことをナチュラルに出せる人なんですよね。だけど、かなり役に入り込んでいたのだと思います。カットがかかっても戻ってこない時もありました。でも、ふとしたお芝居に怖さを感じる瞬間もあって、本当に素晴らしい演技でした。
心ちゃんは前作でも共演しているので、安心できるというか、心強かったですね。実は撮影のオールアップの日が、彼女の20歳の誕生日だったんですよ。血まみれになりながら誕生日を迎えるなんて、壮絶ですよね(笑)。でも、人生で一度しかない20歳の誕生日を現場で迎えることができるなんて、すごいこと。ほとんどの人ができない経験だし、ちょっとうらやましかったですね。
――小野さんにとって「真・事故物件パート2 全滅」はどんな作品になりましたか。
前作ではお芝居を少しやりすぎたかなと反省した部分があったので、今作は少し抑えながら演じたのですが、自分の中ではすごく良い感じになったと思っています。納得いかないな、悔しいなと思うことが、今までの作品で一番少なかったんですよね。続編ということもあり、ある程度狙い通りにできた安藤という役が自信に繋がりました。過去にも1年間同じ役を演じた「天装戦隊ゴセイジャー」、LGBTを題材にした原田美枝子さん、大塚明夫さんとの舞台「MOTHERS AND SONS -母と息子-」など、いろいろな作品からいろいろなことを学ばせていただきましたが、今作ではどんな風に役を作っていけば、より良い方向に行くのかをつかめた気がします。これを機に、舞台だけでなく、映像作品もより力を入れていきたいと思っています。
(構成=中野龍/フリーランスライター)