鉄道の旅のお供といえば、やっぱり「駅弁」です。
ご当地の名産品や郷土料理の味はもちろん、その土地にちなんだ個性的な容器は見ているだけでも楽しいですし、冷めてもおいしく食べられるためのひと工夫も旅行者としてはうれしいところ。旅先で必ず買うという人は少なくないはずです。
そんな日本各地の名物「駅弁」を集めたのが『駅弁大図鑑』(扶桑社/刊)です。
「元祖 森名物 いかめし」(函館本線森駅)や「峠の釜めし」(信越本線横川駅)といった定番だけでなく、知る人ぞ知るマニアックな駅弁や一食10万円以上する高級駅弁、駅弁にまつわる豆知識など、奥深い駅弁の世界を垣間見ることができます。
■諸説あり?駅弁の元祖とは
日本に初めて鉄道が走ったのは1872年(新橋―横浜間)のことですが、駅弁の登場はその13年後の1885年。諸説ありますが、私鉄・日本鉄道の宇都宮駅が発祥の地だという説が有力です。もちろん今のようにきちんと容器に入っていたわけではなく、ごまをふった握り飯2個とたくあんを、竹の皮で包んだだけのものだったといいます。
ただ、今のような「幕の内弁当」スタイルもそれからすぐに発売されています。1889年に姫路駅で発売された駅弁が元祖とされており、これは鯛の塩焼き、伊達巻き、焼きかまぼこ、出し巻き卵などが入ったかなり豪華なものだったようです。
ちなみに、現在も販売されている、静岡駅の「元祖鯛めし」や、豊橋駅の「稲荷寿し」などもこの時期に登場しています。
■運がないと手に入らない超高級駅弁
ほとんどが1,000円前後、高くても1,500円ほどで日本各地の味を楽しめるのが駅弁の最大の魅力です。しかし、中には1万円を超えるような「高級駅弁」も。
金沢駅の「加賀野立弁当」は、加賀藩の御膳所を長く務めたという老舗料亭による、本格加賀懐石料理の駅弁です。
伝統的な郷土料理が中心ですが、その日に仕入れる食材によってメニュー構成が変わるという、マニア心をくすぐる一品。一食1万円、そして3日前までに3個以上での予約が必要と、手に入れるためのハードルは高めですが、一度は食べてみたいですね。
「ハードルの高さ」でいえば、日本一は東武日光駅の「日光埋蔵金弁当」にまちがいありません。ネーミングからして高価だろうというのは予想がつきますが、お値段なんと16万2,000円。