“ビリギャル”原作の映画が5月1日からついに全国で公開されます。『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話』(KADOKAWA アスキー・メディアワークス/刊)はベストセラー化し、社会現象にもなりました。そして今回、もう1つの“ビリギャル”物語が誕生したのです。
『ダメ親と呼ばれても学年ビリの3人の子を信じてどん底家族を再生させた母の話』(ああちゃん、さやか(ビリギャル)/著、KADOKAWA アスキー・メディアワークス/刊)は、“ビリギャル・さやか”と、そのお母さん“ああちゃん”が綴った、ビリギャル家族の真実です。
本書は、『ビリギャル』の読者から数多く寄せられた「さやかちゃんのお母さんの子育て法や信念、人生についてもっと知りたい」という声から生まれました。
「この家族は失敗」「ダメな母親」と言われ続けた家庭
名古屋の中高大一貫名門女子校に入りながらも、素行不良や派手な見た目から停学処分を受け教師に「クズ人間」のレッテルを貼られてしまった、さやか。高校生のさやかがギャル化した理由の1つには、荒れた家庭環境がありました。
両親の夫婦仲は冷え切り、父は母、さやか、まーちゃん(妹)への経済支援を一切打ち切ります。反対に、父に「プロの野球選手になれ」と高級スポーツ用品を買い与えられスパルタ教育を施された長男は、自暴自棄で無気力に陥っていました。
父は母やさやかに罵声を浴びせ、その横暴に耐えられなくなったさやかは家に寄り付かなくなり、問題児として高校教師からマークされるようになって行きます。
「この家族は失敗だ」「ダメな母親だ」と言われながらも、最終的に“ビリギャル”のさやかは慶應義塾大学、まーちゃんは上智大学に合格し、長男も自らの夢の実現に向けて前向きに努力するような状態まで家庭を“再生”することが出来たのは、お母さんのああちゃんが、決して子どもを叱らず、世間のワクにはめないよう、信念を貫いてきたからです。
「自戒をこめて…」“成功”だけではなかった子育て
ああちゃんは、児童心理学者の平井信義先生の唱える「しつけ無用論」を実践し、さやかとまーちゃんには決して威圧的なしつけをしませんでした。「子どもが納得していないことを強制して“良い子”を装わせるような道徳教育はしない」でこそ、人生に意欲的で、一度その気になったときには爆発的にがんばれる若者、大人に育つと信じてその通りに育ててきました。
ギャルで見た目は派手でも、いつでも友だちに囲まれていたさやかの物語を読んだことのある方なら、ああちゃんのこうした信念に納得がいくかもしれません。
しかし、ああちゃんは「長男に関しては、私も多くの失敗をしてきました」と告白します。実は、さやかより2歳下の長男は、小学校に上がってから特に父親に厳しくしつけられたことで、自己主張を全くしない、表面だけの“良い子”になってしまった、と言います。
子どもが行儀を悪くしても、他の子とケンカをしても、そこには子どもなりの優しさや気遣い、考えがあることが往々にしてあります。それに目を向けず、自分の都合や体裁のために叱ってしまうことは、子どもを“つぶす”ことになりかねません。
ああちゃんは、そのことに気づいてから、「長男の前に現れるものは全て自分たちの責任でもある」と自覚し、埋め合わせをすることを考えてきた、といいます。
ああちゃんの書いたこの『母の話』には、“失敗した”と述べる体験も書いてあるため、多くの人の心をつかむはずです。逆転成功をおさめたさやかを見守り続けたお母さんについて、そして“ビリギャル”一家について深く知ることのできる一冊です。
(新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。