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広木隆(マネックス証券チーフ・ストラテジスト)

広木隆「グーグル新タブレットは、スマホ時代の終わりを告げる?」

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新タブレット・Nexusの発売を発表したグーグルのHP
 国内系、外資系運用会社を渡り歩き、株式投資の最前線に20年以上携わった後、現在はマネックス証券チーフ・ストラテジストを務める広木隆氏。そんな広木氏が、尖閣問題にiPhone5発売、そしてグーグル新タブレット・Nexus7発売という旬のテーマを通じ、ビジネスの本質に迫る。

 日中関係悪化のニュースは見飽きた人も多いだろうが、やはりこれに触れないわけにはいかない。筆者の専門である経済分野への影響は注視している。

経済界、訪中団 初の中止 – 日経新聞(9月24日)

 大手企業のトップらでつくる日中経済協会は、予定していた訪中団の派遣を取りやめた。1975年から続けてきた訪中団の中止は初めてという。05年に靖国神社参拝を巡る小泉純一郎首相(当時)の発言などで両国関係が緊張した時も、日中経協は訪中団を派遣し、温家宝首相らと会談した経緯があるだけに、それと比べても今回はかなり深刻だとの見方がある。
 
 その一方で、次のような報道はあまり目立たない。

外資誘致、積極姿勢アピール=日本企業トップも参加-中国・重慶 – 時事ドットコム(9月24日)

 ここまで緊張が高まるなか、日本から野村ホールディングスの古賀信行会長、日立製作所の川村隆会長、双日の加瀬豊会長らが出席したという。つまり、All or Nothing で「全部だめ」ということではないのだ。それが当然だと思う。特にビジネスの世界ではAll or Nothingとなるケースは、実際にはまれである。

 All or Nothing に近い表現でWinner Takes All(勝者が総取りすること、一人勝ち)という言葉が一時流行ったが、ビジネスの世界におけるWinner(勝ち組)企業を挙げよ、と言われれば、誰もがアップルの名前を真っ先に挙げるだろう。ところが、そのアップルでさえWinner Takes All、全面的な勝利は難しい。必ず、天邪鬼というか、ひねくれ者はいる。

iPhone5を買わない理由 – REUTER (9月25日)

 ひねくれ者とは言ったものの、この記事の指摘は納得的だ。

「われわれの心を奪う携帯端末の座は、スマホから7インチ型タブレットに取って代わるだろう。市場に出始めた7インチ型タブレットは、iPadにとって初めて本当に競合する製品であり、消費者にとっては初めてiPad以外の選択肢となり得る」

 アップルの株価は先日700ドル台に乗せ、上場来高値を更新したが、心なしか上値が重い感じである。一方、このほど日本でもNexus(ネクサス)7を発売したグーグルの株価も上場来高値をつけてきた。

米グーグル株価、上場来高値を更新 – REUTER (9月25日)

 次の携帯端末の主戦場と見られる小型タブレット市場で、グーグルとアップルの競争は今後ますます激化するだろう。この米国を代表するテクノロジー業界の両雄は、すでに株式市場においても、その栄華を競い合っている。それにしても両社の上場来最高値がそろって700ドル台というのは、興味深い符合である。

 7インチ型タブレットのNexus(ネクサス)7に対抗するため、アップルはiPhone6を飛び越してiPhone7を出す? なんていう妄想はさておき、世の中をわくわくさせるイノベーションの競争は大歓迎。もっともっと激化してくれて一向に構わない。

●広木隆(ひろき・たかし)
:マネックス証券チーフ・ストラテジスト
1963年生まれ。上智大学外国語学部卒業。87年大和証券に入社。その後、ファンド・マネージャーを志し、資産運用業界に転身。富士投信投資顧問、フィデリティ投信、JPモルガン・アセット・マネジメントなど、国内系、外資系の運用会社を渡り歩き、株式投資の最前線に20年以上携わる。2010年9月より現職。