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西武HDへの米投資会社によるTOB、金融庁元長官の社長就任に同庁から困惑の声も

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西武
西武HD傘下のプリンスホテルが運営する
「ザ・プリンス・パークタワー東京」
(『Wikipedia』より)
 3月11日、米投資会社・サーベラスは、西武ホールディングス(HD)への保有株式を3分の1以上に引き上げるため、株式公開買い付け(TOB)に踏み切ると正式発表した。サーベラスは現在、すでに西武HDの32%超の株式を保有しており、これを最大で36.44%までの引き上げる方針だという。これによりサーベラスは、西武HDの取締役会に対し、特別決議の拒否権を持つ3分の1以上の株式獲得を目指す。

 サーベラスはTOBに際し、元金融庁長官の五味廣文氏をはじめ、元日本郵政公社(現日本郵政)総裁・生田正治氏、あおぞら銀行取締役・白川祐司氏の取締役就任を、6月の西武HD定時株主総会で求める意向を表明している。

 なかでも、サーベラスが西武HD社長に推す五味氏は、3月15日付け日本経済新聞の取材に対し、西武HDが株式上場を目指していることについて、「筆頭株主と経営陣のコミュニケーションに問題がある」「ガバナンス(企業統治)の強化に役に立てる」と就任へ前向きな意向を示している。

 しかし、五味氏が以前長官を務めていた金融庁関係者からは、困惑の声が上がっている。

「金融庁の元トップが、外資系投資ファンドが推すかたちで西武HDのトップになれば、同庁へ『ハゲタカの味方』との批判が向く可能性もある。また、現在西武HD傘下の西武鉄道が有価証券報告書虚偽記載で上場廃止となった2004年当時、五味氏はまさに現職の同庁長官だった。その五味氏が今度はその西武HDのトップに就くことについて、世論がどう受け止めるか……」(金融庁関係者)

 また、今回サーベラスがTOBを行う目的として、05年に資本提携契約を結んだ西武HDの上場阻止が狙いと見られている。06年に、サーベラスは現在価格で約1000億円の資本注入を西武HDへ行い、現在、西武HD株の32.4%を保有する株主である。12年10月末には西武HDは、サーベラス側からの要求もあり、同年12月の再上場に向けて、準備を進めるまでに至った。しかし、サーベラス側は、証券会社が仮に算出した想定IPO(新規公開株)価格を不服として、「できるだけ高い価格で売り出しをしたい」と西武HDへ要求し、膠着状態が続いている。

 3月11日掲載の本サイト記事『西武HDへ敵対的TOBか サーベラス、上場阻止狙い今週にも…株価つり上げ画策か』によれば、サーベラスは極めて不利な状況にあるとの見方が強い。なぜなら、関係者によれば、西武への資本増強でサーベラスは約1000億円注入したが、このうち700億円は銀行借入金。しかもこの借り入れ時、銀行から「15年には西武HDを再上場させる」という条件がついているとのことだ。

 金融業界関係者は、次のように話す。

「サーベラス関係者は最近、TOBへ向け不利な要因を取り除くためか、一部メディアに対し、『株の買い増しについては、あくまで西武HDの経営にコミットメント(=関与)する姿勢を示すため。(西武HDの取締役会に対する特別決議の)拒否権の取得が目的ではない。経営権の取得、現経営陣の交代も考えていない。交渉は、友好的に進めたい。必要があれば、五味さんら3人以外の役員の追加も考える。また、今回の3人の人選は、西武HDも断れないし、サーベラスが西武HDを乗っ取る気がないということを示す狙い。銀行も役所も反対しないと考えている』と話し、強気の姿勢を示している」

 サーベラスと西武HDの、今後の動向に注目が集まっている。
(文=編集部)