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「ダイヤモンド」vs.「東洋経済」! 経済誌双璧比べ読み(7月第4週)

なぜ40歳超と以下は、わかり合えない? 40歳以下は会社人としてなってない!?

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「Thinkstock」より
 「週刊東洋経済」(東洋経済新報社/7月27日号)は、「U(アンダー)40才大図鑑――デジタル世代の本音と行動」という特集を組んでいる。

 「今どきの若手社員に対する嘆きは尽きることがない。それは何十年と繰り返されてきた光景でもあるが、最近、以前とは異なる傾向がある。30代になっても会社の組織人としての振る舞いがなく、40代以上の社員から『理解できない』と悲鳴にも似た声が上がっているのだ」「いつまでも『理解できない』と言い合っているだけでは先がない。U40(40歳以下の世代)を詳細に見ることでU40とわかり合える道を探っていこう」という内容だ。

 記事によれば、「U40と、それより上の世代には大きな溝がある。U40は日本経済が低成長に陥り、低成長や不況しか知らない世代だ。また、携帯電話などのデジタル機器を子どもの頃から使いこなしている。通信機器が違えばコミュニケーションの取り方も変わる、40歳超のアナログ世代との大きな違いだ」という。

 そこでU40をデジタル世代とまとめ、その中でも30代後半を「団塊ジュニア世代(初の低成長世代)」、30代前半を「ポケベルPHS世代」、20代後半を「ケータイ世代」、20代前半を「スマホ世代」と区分し、「仲間を大事にするケータイ世代」「『上から目線』を嫌うスマホ世代」などと博報堂若者研究所やリクルートワークス研究所の取材を基に特徴付けしている。

 特集の後半は「U40大図鑑」として、「起業家」ページではリブセンスの村上太一社長やスプリー安藤美冬代表などにインタビュー、「若手社員」ページ、「プロフェッショナル」ページや世代論コラムで埋め尽くされる。

 気がつけば、グラビア誌にありがちな2分の1ページインタビューのオンパレードだ。編集者である筆者からすれば、こうしたインタビューで懸念されるのは短い文章しか掲載できず、インタビューもおざなりなものになりがちというところだ。そのため、取材・編集側が楽なだけで、何も残らないのだ。ひょっとして、毎年恒例の編集部の夏季休暇直前の“あまり力を入れずに済む特集企画”なのかもしれない……という不安がよぎる。

 案の定、「デジタル世代」の本音や、「団塊ジュニア世代」「ポケベルPHS世代」「ケータイ世代」というくくりも後半には出てこない。どこかに飛んでしまっているのだ(つまり、全編を貫く編集ができていない)。

 しかも、冒頭のコンセプトでは「理解できない」若者たちといいながら、後半のインタビューに登場するのは、40歳超のアナログ世代に受けのいい人たちばかり。いつの間にか「理解しやすい」若者たち特集にすり替わってしまっているのだ。

 「東洋経済」は、6月15日号の特集「起業100のアイデア」で、若手起業家60人超にインタビューしている。起業家だけに、アナログ世代とのあつれきも多かったに違いない。この60人の中には、数多くデジタル世代の代表格がいるのだが、その時の取材が生きていないのだ。

 また、6月22日号の第2特集「パズドラの破壊力」では、ガンホーの社長・森下一喜氏(1973年生まれ、つまり今号で言えば「団塊ジュニア世代」)、プロデューサー山本大介氏(78年生まれ、同「ポケベルPHS世代」)、また、アップバンクのマックスむらい(81年生まれ、今話題の「81世代(81年前後生まれ)」)にインタビューしているが、彼らにこそデジタル世代の本音を聞きたい。

 つまり、各号の特集がブツ切れでバラバラに行われていて、有機的につながっていかないのだ。もし、有機的につながっていれば、どうなるか。

 今号の特集の中で、“81世代の旗手として同世代からの信頼が厚い” nanapi(ナナピ)古川健介社長は「81世代は、自分の好きなことをコツコツやる世代。おカネ稼ぎのことはあまり考えず(略)好きだから、という理由だけでやってしまう人が多い」と語る。

 81世代は、上場経営者が極めて少ないのが特徴だ。ネットの技術革新の歴史が大きく影響しているのだ。

 「2003~06年にWeb2.0ブームがあり、SNS(交流サイト)やブログが始まった。76世代(76前後生まれ)はこの流れをとらえた。だが、07~10年、81世代が活躍し始める頃、新規参入のチャンスはあまりなかった。そのため81世代は好きなことをやるしかなかった」

 こういう話こそが、この特集のポイントなのではないか。
(松井克明/CFP)