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「ダイヤモンド」vs.「東洋経済」! 経済誌双璧比べ読み(8月第2-3週)

高齢・タワーマンションは危険?修繕積立金不足で建物劣化、資産価値下落の可能性も

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「Thinkstock」より
 「週刊東洋経済」(東洋経済新報社/8月10・17日号)は、「マンション大規模修繕 完全マニュアル」という特集だ。「最初はピカピカのマンションでも、時間が経てば劣化する。新築時の状態に回復するための大規模修繕工事。いつやる、何をする、いくらかかる? 疑問だらけの大事業を、住民目線で解明する」内容だ。

 東洋経済では、6月8日号の特集で「マンション時限爆弾 老朽化にどう対応する」として取りあげて以来、2カ月で2度目の特集となっている。

 日本全国で600万戸、1400万人が暮らす分譲マンション。特に都市部での需要は旺盛で、東京都心3区での分譲マンション居住比率は実に5割を超える。現在、約600万戸のうち100万戸超は築30年以上の高齢マンションとなっている。

 今後はさらに増え、10年後には全体の3分の1を占める見通しだ。そこで問題になってくるのが、大規模修繕工事だ。大規模修繕工事とは照明の球切れ、ちょっとしたさびの塗り直しといった日常の補修工事とは別に、時間の経過とともに劣化する部分をまとめて直す修繕プロジェクトのことだ。

 「築20年目にはエレベーターのかごの取り替えに950万円。オートロック装置の改修に750万円」などとお金がかかる。修繕工事の費用は「マンションの外壁が塗装(吹き付け)の場合で1戸当たり60万~80万円、タイル壁だと1戸当たり80万~100万円が1つの目安となる」とされている(50~100戸の規模の場合)。こうした大規模修繕工事の出費のためにあらかじめ徴収されているのが毎月の修繕積立金だ。

 「国交省は5年ごとに長期修繕計画を見直すよう推奨しているが、1回目の見直しは5年といわず、1年でも早く行ったほうがいい」と勧告している。東洋経済オンライン「間違いだらけのマンション修繕 業者にだまされないために情報武装しよう!」でも、「15年くらい前までは、築10年目に初回、20年目に2回目、と10年ごとに大規模修繕工事を行うのが一般的だったが、今は初回が12~13年目となる場合が多い。新築分譲の段階で存在する『長期修繕計画』は、デベロッパーが作成したものだが、もし、判で押したように10年ごとの工事計画が組まれていたら、すぐに検討し直したほうがいい」という。

 注意したいのは、分譲時にデベロッパーが作成する長期修繕計画と、修繕積立金の見積額だ。「マンション分譲時にデベロッパーが設定する月々の修繕積立金は、得てして管理費よりずいぶん安く設定されているため、管理費のおまけ程度にしか認識されない。ただ、その安さはまやかしだ。数年もしないうちに値上がりし、管理費の数倍になることも少なくない。万が一、積立金が不足する事態になれば、修繕工事がおろそかになり、建物は劣化。資産価値の下落につながる」(特集「PART1 大規模修繕ABC」)

 大規模修繕工事で懸念されるのが、築30年以上の高齢マンションと20階を超える最新型のタワーマンションだ。築30年以上の高齢マンションは建築材料が古く、工法も発展途上にあったために思わぬトラブルに見舞われることになる。「漏水事故が相次いだために給排水管の更新を決めたが、3億円以上のおカネがかかった」というケースもある。

 また、20階を超える最新型のタワーマンションは、「一棟一棟、ゼネコンがその時点で持つ最新の工法を駆使して造られるため、『すべてが実験的建物。修繕も個別対応が必要となる』(専門家)。材料や設備が特注で汎用品が使えないこともしばしば。費用のかさむ条件がそろっている」という。タワーマンションの建築ブームは2000年代のこと、タワーマンションの大規模修繕工事という問題はこれから浮上してくることになる。

 今、相続税対策で人気の“億ション”と呼ばれる高級マンションも例外ではないのだ。特集では修繕費の金食い虫「機械式駐車場」や、管理会社の選び方なども取り上げており、新築・中古問わずマンション購入検討者はもちろん、すでにマンションを所有している人も読んでおきたい。
(文=松井克明/CFP)