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吉田潮「だからテレビはやめられない」(9月30日)

『オールスター感謝祭』は“問題”芸能人の受け皿?意外な見所と、際立つTBSの腹黒さ

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『オールスター感謝祭』公式サイト(TBS HP)より
 主要なテレビ番組はほぼすべて視聴し、「週刊新潮」などに連載を持つライター・イラストレーターの吉田潮氏が、忙しいビジネスパーソンのために、観るべきテレビ番組とその“楽しみ方”をお伝えします。


 意地悪な目で眺めると、意外と、いや結構面白い。それが『オールスター感謝祭』(TBS系/9月28日放送)である。いつも番組改編時期にやっている、バカ騒ぎ&番組宣伝バラエティだが、正直、全部観たことが一度もない。が、今年はまるまる5時間半、薄目と遠目で視聴してみたのだが、とても新鮮だった。

 まず目を引いたのは、連続ドラマ『クロコーチ』(10月11日金曜スタート)チームの女優・香椎由宇。もうね、清々しいまでの無愛想。バラエティ番組にまったく関心がないのは、よくわかる。他の女優たちがカメラを向けられるたびに、おおげさな表情で笑ったり、口に手を当てたりしているのに、香椎は鉄仮面キープ。番組を通して鉄仮面だったのは、ある意味すごい。香椎の無表情を観たいがために、画面の中を目で追っちゃったもの。媚びない女優、それが香椎由宇。

 もうひとり、目で追ったというより、探したのが小森純。この番組で“ペニーオークション騒動”によるテレビ出演見合わせから、約半年ぶりに復帰を果たすと聞いたので、どこにいるのか探した(いや、別にさほど興味はないが)。結局、ほとんど映らず。休憩中の出演者たちを、マツコ・デラックスが別室から副音声で実況する時に登場したくらい。マツコがツッコむのかと思いきや、ぬるい同情のみ。むしろ今田耕司のほうがペニオク仲間の熊田曜子に言及した分だけ冴えていた。元司会の島田紳助にもサクッとひとくさし。今田が株を上げた瞬間。俯瞰してみると、この『オールスター感謝祭』は「禊を済ませた人」「黒い噂が立った人」の受け皿になっているんだなと。改めてTBSの懐の広さと腹の黒さを知る。

 あまりに出演者が多過ぎて、あとから「この人出てたのか?!」と気づくというのが、この番組の醍醐味でもある。頻繁に映る位置とほとんど映らない位置があり、気分は「ウォーリーを探せ」状態。これを芸能事務所の勢力地図ととらえるべきか、TBSと深い関係のある芸能人の分布地図ととらえるべきか。ひとつだけ言えることは、関西芸人をほぼ映さない「東京キー局独特の嫌味」。オール阪神・巨人とか太平サブロー、長原成樹なんてほとんど映らなかったもの。映しても東京の視聴者、知らないのかな。

●意外なMVPと見所

 知らないといえば、若い人は知らないであろう森脇健児。昔はよく出てきたタレントだったのに、いつの間にか東京のテレビから姿を消していたのである。「懐かしいわぁ……」と感慨にふけるほどでも、ない。だって、出てきたのはマラソンくらいだもの。体鍛えてるようだから、ぬるぬるローション相撲とかにも出してあげればよいのに。プロレスラー・高山善廣の巨体ゆえの危なっかしい足元とか、アナウンサー・草野仁が腰打ったときの映像なんか、ヒヤヒヤしたわ。体鍛えるしかほかに売りどころがなくなってしまった芸能人に、出場権を譲ってあげてほしい。

 で、途中でテレビを2画面表示に切り替えた。いまだバラエティ番組に出てくる厚顔無恥な衆議院議員が大嫌いだから。ビートたけしの毒舌(少々呂律回らなくなりつつあるが)は好物なんだけど、元弟子は観るのもイヤ。ということで、『有吉反省会2時間スペシャル』(日本テレビ系)を観始める。JOYって結構面白いなぁと発見しちゃったりして。あれ? JOYは裏の『オールスター感謝祭』にも出てたっけ?

 とまあ、2画面をちゃかちゃかしながら観ていたワケだが、個人的にMVPは安田大サーカス・団長安田の「大和田常務」(ドラマ『半沢直樹』で香川照之が演じた役)のマネだ。意外と似ていて大笑い。大和田顔でちゃっかり画面に映り込む団長の姿が、いちばん記憶に残った。5時間半もやって大和田顔のみ……。それが『オールスター感謝祭』である。
(文=吉田潮/ライター・イラストレーター)

●吉田潮(よしだ・うしお):
ライター・イラストレーター。法政大学卒業後、編集プロダクション勤務を経て、2001年よりフリーランスに。「週刊新潮」(新潮社)、「ラブピースクラブ」(ラブピースクラブ)などで連載中。主な著書に『2人で愉しむ新・大人の悦楽』(ナガオカ文庫)、『気持ちいいこと。』(宝島社)、『幸せな離婚』(生活文化出版)など。カラオケの十八番は、りりぃの「私は泣いています」、金井克子の「他人の関係」(淫らなフリつき)など。