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ダイエー、シニアシフトで再建なるか?シニア向け店舗・サービス強化、店員に介護資格も

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ダイエー、シニアシフトで再建なるか?シニア向け店舗・サービス強化、店員に介護資格もの画像1ダイエー摂津富田店(「Wikipedia」より/Kirakirameister)
 8月22日、イオンダイエー株式の44.24%(議決権所有割合)を持つ筆頭株主となり、ダイエーはイオン傘下で再生に踏み出した。

 イオンがダイエーを子会社化したのは、ダイエーには都市部で駅に近い店が多いからだ。5月にダイエーの社長に就任したイオン出身の村井正平氏は、「駅前の店は郊外の大型店に押されてきたが、今後は高齢化などで人口が都市に集中するので有利になる。店舗の6割が駅前という好立地を生かし、シニアに対応した新しい店舗に変えていく」と語っている。

 村井氏は2008年、イオンの総合スーパー(GMS)運営子会社、イオンリテールの社長に就任。今年3月から会長を務めていた。GMS改革の手腕を買われダイエーの再建に送り込まれた。

 8月22日、イオンはそれまでダイエーの筆頭株主だった丸紅などから発行済み株式数の24.35%を約130億円で取得。すでに取締役の過半数を派遣しており、連結子会社の要件を満たすことから、8月27日付けでイオンを連結子会社に組み入れた。

 ダイエーを子会社にしたことで、イオンの年間売上高は6兆5000億円と国内最大の流通グループとなった。百貨店業界全体の売上高(12年:6兆1000億円)を上回る規模になる。セブン&アイ・ホールディングス(4兆9000億円)との差も広がる。

 しかし、ダイエーは営業不振が続く。既存店売上高は09年度から4年連続で前年を下回った。今上半期(3~8月)は食品の値下げを進めた効果で客数が増え、6月と8月に前年比プラスとなったが、それでも上半期の累計では1%のマイナスだ。

 13年3~8月期の業績予想を下方修正した。売上高に当たる営業収益は前年同期比3%減の4092億円。従来予想に20億円届かなかった。営業損益は41億円の赤字(前年同期は15億円の赤字)となり、計画を31億円下回った。最終損益は144億円の赤字(同27億円赤字)だった。粗利益率の高い衣料品の不振が足を引っ張ったほか、店舗の減損など特別損失93億円を計上したのが響いた。

 13年2月期まで5期連続の赤字。下期からイオン流のノウハウを既存店に取り入れ本格的にテコ入れをする。イオングループのプライベートブランド「トップバリュー」の比率を上げる。14年2月期は既存店売上高をプラスにして、営業損益は10億円の黒字(前期は26億円の赤字)に転換。15年2月期には7期ぶりの最終黒字化を目指す。

 イオンは中期計画で、アジアシフト、大都市シフト、シニアシフトを掲げる。ダイエーが持つ首都圏の店舗網を活用し、シニア向けサービスを強化して、イオンの店舗との棲み分けを図る。

●シニアシフトに再建かける

 ダイエーのシニア向け店舗の第1号は、12年3月1日に東京・北区に開業した赤羽店である。もともとあった赤羽店は10年7月に閉店。新たに建て直した店舗は近隣に高齢者が多いことからシニア層を重視した店づくりをした。

 食品は小分けした商品の品揃えを徹底した。調味料売り場では小瓶タイプのしょうゆなどを充実。年配者でも手に取りやすい目線の高さに並べた。衣料品や生活用品のラインアップも踏み込んだ。衣料品の売り場は50歳以上を対象とした商品を全体の6割と通常の3倍に増やした。生活用品では大人用おむつや杖などの介護関連の品目を、既存店の3倍にした。

 通路の幅を広げ、カートは軽いアルミ製に変えた。エスカレーターの速度も落とした。食品売り場を中心に陳列棚の高さを下げたほか、POP(店頭販促広告)の文字を大きくし、値札の数字は最大4倍にした。

 4月25日には大阪府豊中市にシニア向けスーパー「グルメシティ庄内店」を開店した。赤羽店に続き2店目だ。ここには、福祉用具専門相談員など介護関連の資格を持つ店員が多く働く。

 ダイエーは村井新社長体制となり、シニア客向けのサービスを拡充する。14年2月までに大型スーパー・ダイエーと食品スーパー・グルメシテイの、すべての店長がサービス介助士の資格を取得する。14年3月以降は副店長や顧客サービス課長らを含めて、資格保有者を800人程度に増やす。

 インターネットが苦手なシニアのために「でんわスーパー」の取り組みを強化。野菜や鮮魚、コメ、日用品など500品目を配達料210円(3000円以上買えば無料)で宅配する。「3年かけてダイエー全店を改装して、シニア向けサービスを強化。イオングループの大都市シフトの一翼を担っていく」と村井社長は意気込む。

 だが、グループで500店を展開するダイエーの再生は容易ではない。ダイエーの店舗は老朽化が進んでおり、集客の足かせになっている。老朽化した店舗を建て替えていくことが必要だが、これが難しい。有利子負債の返済のため、不動産を売却して、売却した店舗を借り受ける方式にした赤字店が、かなり残っているからだ。店舗を閉鎖して別の場所に移りたくても、閉店に伴う違約金や原状回復費など占めるコストが大きすぎるため、店舗を整理できないのだ。シニア向け店舗にシフトして利益を出しながら改装投資を続けることができるかどうかが、再生を占うポイントになる。

 果たしてダイエーは再生できるのだろうか? 今後の同社再建の行方に、注目が集まっている。
(文=編集部)

BusinessJournal編集部

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