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『昆虫交尾図鑑』トレース疑惑、「担当不在」繰り返す飛鳥新社と「企画協力者」の不可解

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『昆虫交尾図鑑』トレース疑惑、「担当不在」繰り返す飛鳥新社と「企画協力者」の不可解の画像1『昆虫交尾図鑑』
 12月6日の発売日当日に、「東京藝術大学の女子学生が、1人でつくった」としてインターネットのニュースなどで取り上げられ、大いに注目を集めた『昆虫交尾図鑑』(長谷川笙子/飛鳥新社)。

 だが、この本がすぐさま別の理由で注目を集めたことは、ご存じの方も多いだろう。

 昆虫図鑑サイト『虫navi』などに掲載された複数点の写真を「トレース」(編註:上からなぞること)あるいは「模写」したという疑いである。それがネット上で話題になったことで、『虫navi』管理人が出版元の飛鳥新社に問い合わせたところ、ツイッターで当初はトレースを否定していた作者本人が直接メールで謝罪。写真を見て描いたことを認め、「印税その他、一切の権利を放棄するつもりでいます」と表明し、疑惑は解決に向かったかに見えた。

 ところが、事態は一転。12月10日付で、飛鳥新社が公式サイトにおいて、「著作権を侵害するものではない」と主張。「著作権に詳しい弁護士の検討を経たもの」として以下の「見解」を発表したためである。

「昆虫の姿をリアルに描いた場合に、写真における昆虫の特徴と類似するのは当然であり、また昆虫の交尾の姿に個性的体位がないのは自明であり、したがって、本件イラストが写真に類似するという理由だけで著作権侵害とならないこともまた明らかです」

 作者本人が模写を認めている一方で、版元の見解は、「虫の交尾なんてどれも一緒」「トレースでなければ著作権侵害にならない」ということだ。こうして、沈静化の兆しを見せていた無断模写疑惑は、飛鳥新社の公式コメントによって再び炎上。

 ちなみに、同書では『虫navi』のほか、講談社や学研の図鑑なども「出典」として巻末に記しているが、いずれも使用許可は得ていない。なぜ編集者は使用許可申請を行わなかったのか。また、飛鳥新社が実名を出さずに「著作権に詳しい弁護士」として公式コメントを出したのはなぜかなど謎は多いが、担当編集者は各メディアの取材に対し、「不在」という回答を繰り返しているのみだ。

●謎の人物「やきそばかおる」とは?

 さらに、この問題を複雑化させている人物の存在がある。作者にこの本の出版の話を持ちかけ、同書の奥付に「企画協力」としてクレジットされている「やきそばかおる」という男性だ。

 実は発売日当日に、同書をネットのニュースで紹介しているのも、このやきそば氏。自身は「インタビュアー」として作者に話を聞いている形式だが、記事には「PR」の文言が一切なく、奥付に本人の名前があることを考えると、「自作自演」の記事にも見える。

 ちなみに、やきそば氏は書籍・雑貨店、ヴィレッジヴァンガードのWebマガジンで連載しており、『昆虫交尾図鑑』発売日にはヴィレッジヴァンガード下北沢店のツイッターで「すごい本入荷しました。昆虫交尾図鑑。こちらご購入の方の顔をじっと見てしまうかもしれませんが、 許して下さい。あと何コーナーに置いたらいいのか教えてください」というつぶやきが早々にされていた。

 ある編集者は次のように言う。

「やきそば氏は、これまでもご本人がライターなどとしてかかわった本の紹介を『インタビュー』というかたちでネットニュースで取り上げたり、複数媒体で同じネタを書いたりしていましたから、コネクションをつくったり売り込むのがうまい方なんでしょうね。いかにも『テレビ屋さん』(構成作家)らしいやり方です」

BusinessJournal編集部

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