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著作権侵害の同人誌でも、コミケ会場なら許される?マンガ家の太鼓判「黙認ライセンス」

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筆者提供
 こんにちは、江端智一です。

 前回「ライセンスの絶望的な“面倒くささ”を救済するクリエイティブ・コモンズ・ライセンス」では、「クリエイティブ・コモンズ・ライセンス(以下、CCライセンスといいます)」についてご説明しました。

 CCライセンスとは、「私の著作物(創作した作品)を使っていいわよ」という意味の「キスマーク」、または「ハンコ」のようなものです。

 簡単にいうと、これまでの著作権法の枠組みでは、「許諾」と「不許諾」の2つの「ハンコ」しかつくれなかったことに対して、CCライセンスは、この2つの「ハンコ」の間に存在する、6つの状態の「ハンコ」をつくって、それを著作物に表示し(貼り付け)て使えるようにしたものです。


 CCライセンスのメリットは、著作権者が、面倒なライセンスを「つくる」のではなく、「選択する」だけで、おおむね自分の希望する形で作品を利用してもらい、利用者側はライセンス条件に違反しなければ、その作品を、自由に自分の作品の中で利用することができるようになります。

●CCライセンスでは、「初音ミク」の創作は守れない?

 先日、マンガ家の赤松健先生【注1】へインタビューに参上した私に、赤松先生はこうおっしゃいました。

赤松先生:「CCライセンスでは、二次創作同人誌も初音ミクの創作も守れませんよ」

 CCライセンスが真っ先に救済する対象は、二次創作の同人誌創作者や、初音ミクなどのボカロ関係の創作者だろうと考えていたので、私は、絶句してしまいました。

江端  :「え?」

赤松先生:「CCライセンスで許諾できるのは、『そのままのコピー』、つまりデッドコピーなのです。二次創作の同人誌が利用しているのは、『キャラクター』と『設定』です。同人誌は、原作の『絵』をそのままコピーしてつくっているわけではないですよね」

江端  :「そういえば、確かにそうですね」

赤松先生:「CCライセンスのデッドコピーの許諾だけでは、我が国の貴重な資源となり得る、二次創作コンテンツを保護するには、十分ではないのです」


 今回は、赤松先生へのインタビューを通じて、このCCライセンスの限界と、赤松先生が提唱されている「黙認ライセンス」について、解説をしたいと思います。(なお、本文において「二次創作同人誌」とは、別段の説明がない限り、「他人の著作物に依拠して創作された同人誌のうち、当該他人の許諾を得ていないもの」をいうものとします。許諾を得ているもの、または、100%オリジナルの創作同人誌は含みません)

●赤松健先生と、ライセンスや同人誌との関係

江端  :「ところで、赤松先生。 今回は、先生の提唱する『新しいライセンス』の考え方について、お伺いする前に、いくつか教えてください」

赤松先生:「はい。どうぞ。」

江端  :「先生は、マンガ家として以外に、先日の、文化庁のパネルディスカッション【注2】への出演など、さまざまな活動をされていらっしゃいますね」

赤松先生:「主に、著作隣接権やTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)、児童ポルノ禁止法改正案などについて発言しています。マンガ家としての自分と深くかかわりのある問題ですので。」