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最高益・花王の憂鬱~経営刷新で見せた、白斑問題の子会社カネボウ買収失敗のケジメ

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「カネボウ HP」より
 子会社のカネボウ化粧品が起こした美白化粧品で肌がまだらになる白斑問題が、花王の決算の足を引っ張った。

 花王の2013年12月期連結決算の売上高は1兆3152億円、営業利益が1246億円となった。前期に決算期を変更したため比較しにくいが、12年1~12月に比べて売上高は7.8%増、営業利益は11.5%増となった。カネボウの白斑問題で同社商品の買い控えが起こり、回収費用が発生したが、表面上は日用品の売り上げ増で吸収した。

 花王は当初、白斑問題が業績に与える影響規模について、売上高で100億円、営業利益で60億円程度のマイナスとみていたが、商品買い控えが予想以上に広がり、売上高で約120億円の減収となった。営業利益段階では小売店からの返品などによる損失が24億円、自主回収や治療費など特別損失が97億円で合計121億円を計上。特別損失は当初56億円と想定していたが、返品数と発症者数が1万7000人を超えたため97億円に膨らんだ。

 花王はこうした落ち込みを、おむつやサニタリーなど国内やアジアでの日用品事業でカバーした。特に洗剤「ウルトラアタックNeo」などの新製品が好調なのに加え、アジアでの紙おむつ販売も伸び、配当は年62円から64円に増配した。その結果、花王全体としては4期連続の増収増益、営業利益は9年ぶりに最高益となった(売上高には円安の寄与分698億円が含まれる)。

 14年12月期の連結売上高は前年同期比4.2%増の1兆3700億円、営業利益は同4.3%増の1300億円を見込む。配当は年68円へと25期連続増配の予定だ。好調な業績だが、依然としてカネボウ問題が足を引っ張る。白斑被害者への慰謝料支払いが本格化するが、花王は「現時点では、いくらかかると見積もることができる状況ではない」として、業績へは織り込んでいない。利益は下振れする可能性があり、カネボウ問題は今後も尾を引く。

●経営陣刷新の意味

 花王は尾崎元規会長が3月28日付で退任する。新たな社外取締役として三井住友フィナンシャルグループの奥正之会長を迎え、社内7人、社外3人の取締役数を社内外同数の3人ずつの計6人にスリム化する。社外取締役の元マッキンゼー・アンド・カンパニー・シニアパートナーの門永宗之助氏と帝人取締役相談役の長島徹氏は留任する一方、澤田道隆社長を除く社内取締役6人全員が退任。新たに吉田勝彦常務執行役員と竹内俊昭常務執行役員が代表取締役に就任し、社内取締役は澤田社長を含めた代表権のある3人体制になる。執行体制の大幅刷新で経営陣の若返りを図るとともに、意思決定を迅速に行う。社内取締役の平均年齢は、62歳から57歳に若返る。

 尾崎会長は社長時代にカネボウの買収を主導したが、この買収は成功だったとは言い難く、退任することでケジメをつけたとの見方が浮上している。尾崎氏は家庭用品や化粧品部門が長く、花王販売東京本店マーケティング統括部長、化粧品事業本部長など要職を歴任した後、04年6月、先輩役員8人を飛び越して社長に就任した。社長時代の最大の仕事が、カネボウ化粧品の買収だった。

 花王が化粧品市場に進出したのは1980年代で新参者だ。世界の有名ブランドがひしめく化粧品市場で、後発となった花王の化粧品事業は低迷が続いた。そこで降ってわいてきたのがカネボウの買収話だった。経営破綻して産業再生機構のもとで再建に取り組んでいたカネボウが事業を売却すると聞いて、当日社長だった尾崎氏は買収に手を挙げた。カネボウの買収によって、鳴かず飛ばずだった化粧品事業の立て直しが容易になると計算して、06年1月に再生機構から4100億円でカネボウを買収した。