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法科大学院、続々閉鎖で存続の危機 理念崩壊、問題山積で改革の動きみられず

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最高裁判所(「Wikipedia」より/つ)
 日本における法曹養成の改革として注目された法科大学院だが、2004年4月のスタートから10年を経て、存亡の危機を迎えている。

 04年度に68校、05年度に6校の計74校の大学に法科大学院が設置された。しかし、13年3月末で1校が閉鎖され、学生の募集を停止した。さらに、14年4月から4校、15年4月から2校、16年4月から10校が学生の募集停止することを表明している。つまり、74校中17校がすでに閉鎖または学生の募集停止を表明しており、法科大学院としての使命を終えようとしている。

 この間、法科大学院への入学志願者は、04年度に7万2800人だったが、14年度には1万1450人に、入学者は04年度の5767人から、14年度には2272人にまで減少している。

 この結果、法科大学院の入学定員充足率は、平均で09年の84%をピークに14年は60%にまで低下し、14年では60%に満たない法科大学院が全体の76%にもなっている。こうした状況は、法科大学院の経営を不安定化し、その存続を困難にしている。

 法科大学院は、「国民の社会生活上の医師」の役割を果たすべき法曹の養成を目指して設立された。「高度の専門性が求められる職業を担うための深い学識及び卓越した能力を担うことを目的とする専門職学位課程のうち専ら法曹養成のための教育を行うことを目的とするものを置く専門職大学院」で、「法曹に必要な学識及び能力を培うことを目的とするもの」と規定されている。

 いわば、裁判官、検事、弁護士の基礎となる教育をするための機関であり、法科大学院課程の修了者は「法務博士」の学位を取得し、司法試験の受験資格を得る。このため、法科大学院の教育課程、教員組織その他教育研究活動の状況については、法曹養成の基本理念を踏まえた大学評価基準に従って、5年以内ごとに認証評価機関による認証評価を受けることになっている。

 しかし、現在のような状況では、この認証評価が得られない大学院が続出する可能性があり、今のところ開講できている法科大学院でも、その多くはいずれ廃校に追い込まれるのではないかとの疑問が持たれている。

 そもそも、法科大学院については、大学の法学部との関係、専門職大学院としてのあり方、法科大学院の教員の養成も含めた法学研究者の養成など、多くの問題を抱えている。こうした問題を解決しない限り、法科大学院の位置付けが不明確なままとなり、法科大学院が目指す法曹養成という目的の達成は難しい。

 しかし、現状では法科大学院を改革しようという動きは見られない。「国民の社会生活上の医師」たる法曹をつくろうとの法科大学院の理念は、このままでは尻つぼみの状態になり、法科大学院そのものが廃止に追い込まれる可能性は大きい。
(文=鷲尾香一/ジャーナリスト)