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トヨタ、章男社長のワンマン体制確立で役員ヒラメ状態?絶好調スバルのトヨタ化懸念

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トヨタ自動車本社(「Wikipedia」より/Chris 73)
 原油価格下落や円安の影響を受け、今年は上場企業をはじめとする国内企業の業績改善への期待が高まる一方、再編機運が高まりつつある業界も存在する。今回は、各業界でその動向に注目が集まる企業を見てみたい。

●トヨタ自動車


 トヨタ自動車の豊田章男氏は2009年に社長に就任し、最近では「ワンマン体制を確立し、経営者としての凄味が出てきた」(業界関係者)と評されている。

 2015年のグループ(ダイハツ工業、日野自動車を含む)の世界販売台数を、前年より8万台(1%)少ない1015万台とする。東日本大震災があった11年以来、4年ぶりの前年割れとなる。軽自動車税の引き上げの影響で、ダイハツ工業の国内販売が15%落ち込むためだ。14年の世界販売台数は前年比3%増の1023万台と、初めて暦年で1000万台の大台を突破。2位の独フォルクスワーゲン(VW、1014万台)を抑え、3年連続で世界首位の座を守った。

 しかし、世界最大の中国市場で高いシェアを持つVWは、4年前倒しで1000万台を達成しており、15年は首位が交代する公算が高い。米ゼネラルモーターズ(GM)も1000万台乗せを目標にしており、ハイレベルでの戦いが続きそうだ。豊田氏には、無理をして販売台数を伸ばし、世界トップの座を死守するつもりはない。

「5年後、いや3年後を見据えて、経営の舵取りを始めたということだろう。問題は豊田氏に直言できる側近がいないことだ。役員が完全に上ばかり見るヒラメ状態になっている」(業界関係者)

 トヨタは生産・開発体制を見直しており、15年度末までは新しい工場をつくらず、既存工場を有効活用して損益分岐点を引き下げる方針だ。系列の自動車部品会社の再編に乗り出したのもその表れ。製造業は急激な円安に伴う国内回帰と再編がメインテーマになるが、トヨタ系自動車部品メーカーの再編は嚆矢となるだろう。

 タカタ製エアバッグ事故をめぐり第三者機関に調査を依頼することで日米欧の自動車メーカー10社が歩調を揃えたが、“日本車叩き”に波及することを恐れたトヨタが他社に呼び掛け主導した。

 世界初の量産向けセダン型燃料電池車(FCV)「ミライ」は、1カ月で国内年間販売目標(400台)の4倍の注文が殺到、「納車は3年先」といわれている。米カリフォルニア州が排気ガスを出さない車の販売を義務づける規制強化に17年秋に乗り出すのを、先取りした動きだ。燃料電池車の特許を無料で公開するという大胆な方針を打ち出し、FCVの普及を図る。

●富士重工業


 ブランド「スバル」を展開する富士重工業は、引き続き今年も注目株だ。米国販売が絶好調で、昨年末には米誌「ワーズオートワールド」主催の「10ベストエンジン2015」で日本車として唯一受賞。北米で「最も安全な車」との評価が定着した。センサーで車庫入れや縦列駐車をサポートする機能が女性ユーザーに支持されており、ディーラーが「車が足りない」と不満を漏らすほどの売れ行きだ。大手ディーラーがスバルを扱うようになり、もともと良い車に販売力がついた効果は大きい。

 富士重の15年の世界販売台数は94万台と3%の伸びを見込み、4年連続で過去最高となる。20年までの中期計画で世界販売台数110万台以上という目標を掲げる。スバルは長く販売不振で苦労した。「100万台+α」で、オリジナルな車づくりから、もっと売れる車を追求するようになると、「スバルらしさが失われ、スバルのトヨタ化が起こる」(自動車ジャーナリスト)懸念がある。